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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2008年12月7日)

今回の更新では「霜月初めの天体ショー」、「〈月の三部作〉が成りました」の二項目をお届けします。

霜月初めの天体ショー

月、金星、木星の揃い踏み
12月1日、東京・浅草の空でも月、金星、木星の三星が
ほんの一瞬だけ揃い踏みした(撮影:志賀勝)

10月12日の更新で「四光西に行く」現象についてお知らせしました。太陽、月、金星、木星が演じる天体ショーについてのものでしたが、12月1日の金星・木星大接近(そのすぐそばに四日の月)を頂点に11月30日、12月2日・3日にも滅多に見られない光景が夕方から宵にかけての西空を飾りました。ご覧になった方も多いと思います。

月生庵の案内ハガキ
11月30日は霜月三日月の日でした。埼玉県に新築なった書家・鳥井月清さんの自宅では、アトリエ開きが行なわれていました。アトリエは新月伐採の天竜スギが白木のまま使われています。そしてアトリエの名は「月生庵」。読みはツキタチアン。ツキタチという日本の古語はもともとは実際に見える初月を意味したでしょうが、暦の輸入とともに真っ暗で見えない新月を指す言葉となり、この古語に月生というユニークな漢字が当てられたのは非常に印象深い古人の感性です(『日本書紀』に載ります)。新月伐採の木と月生庵を冠したアトリエ開きは霜月の朔日から三日月にかけて設定されていました。

その三日月の日、私は書を学ぶ方々にお話を、と誘われ、月生や暦の話をしましたが、夕刻皆さんと一緒に金星と木星、そして三日月を観賞しました。その後荒川河川敷に向かいましたが、地平線を夕焼けが横一線の層を成し、薄い青から闇へと至るグラデーションを成す大空の一隅に二つの巨星が近接、その右下には地球照を伴った三日月がまさに「星星の王」さながら西へと星を率いて落ちていく絶景を堪能したものでした。四点セットの天の配剤……。

この天体ショーについては、ちょうど暦販売のグッドタイミングな時期でもあり、多くの方々に情報を伝えることができました。ご覧になったたくさんの方々からお便りをいただいています。新潟県の方からは、「12月1日の夜空のスマイル、ほほえましく幸せな一時でした。新潟で見られたのも感動でした」。兵庫県の方からは「三日月の上に金星と木星が並び、月も星も身近に感じました」等々。山口県の方からのものは別枠で紹介しましょう。

(夜空の楽しみについて直近の予報を一つ──今月の満月は13日ですが、夜の8時前後東の空にオリオン星座とシリウスがすぐそばにあって楽しめる可能性があります。ただし、月が明るすぎて星は見えにくいかもしれません。16日以降月の出が遅くなる時、いい光景が展開するかもしれません。)

山口県 Nさんのお便り
昨日は幸いにも早い時間帯でお知らせいただいた天体ショーを、観ることができ、しばし夜空を見あげておりました。知人にも連絡し、幸せのお福分けをいたしました。福島でも観れたようです。残念ながら東京では無理だったようですね。素敵な時間をありがとうございました。

〈月の三部作〉が成りました

月の三部作

8月に『月 曼荼羅 ─384話月尽くし─』(月と太陽の暦制作室刊)を出版したばかりですが、さらに『新版 人は月に生かされている―再生する月 甦るいのち』(新曜社刊)が出来上がりました。そろそろ書店に並び始めているころでしょう。同じ新曜社刊『月的生活』含め、〈月の三部作〉が揃いました。

新版本のもともとの本は1997年に刊行した『月の誘惑』。月暦を復活するだけでなく、ルネッサンスをもじってルナッサンスなどと冗談をいいながら月の復活にこの十年を費やしてきたのでしたが、その契機となったのが最初のその本でした。

月は自然としても見飽きることのない美しさを誇りますが、再生の象徴としても類稀な精神力を誇ります。人も、地球も、再生が不可避に問われる時代相の中で、自然としての月、文化としての月に、私含め気付く人びとが徐々に現われたのがこの十年の軌跡でした(あくまで徐々に、に過ぎませんが)。

新版では、『月の誘惑』の文庫版『人は月に生かされている』(中公文庫)で割愛した多くの写真を復活させました。新しい一章も収めました。「幻の月―「月待ち」を回顧し“時間”の復権を想う」とタイトルしたその新稿は、「二十三夜」とか「二十六夜」とかいわれた日本人が営んできた興味尽きない風習についてまとめたもの。二つの旧本は多くの人びとに迎えられてその役割を果たしましたが、新版においては「月のルナッサンス」十年の軌跡を跡づけることもできるようにし、名実ともに新しい刊本としての体裁を整え世に送り出しました。

『月 曼荼羅』は暦制作室を通してしか入手できない直販の書籍ですが、〈月の三部作〉の三冊とも当室から出荷することができます。どうぞご連絡ください(クリック)。

〈月〉の会 谷崎信治さんの
『月 曼荼羅』感想(抜粋)
志賀 勝様

三百八十四もの、月の位相。月と、月を見上げてきた人間との説話(エピソード)が、これほど豊饒とは、驚きです。

当てずっぽに頁を開けば、月夜の散歩道のように、懐かしい思い出や、新鮮な発見が、そこここに。最近、箱根湯本の温泉場で見つけた「十六夜日記」──湯坂越えの碑文。若いころに読んだ、藤原新也「アメリカ」に出てくるイランの村での体験 ……(中略)…… 永年「月を友」としてきた志賀さんの、月と人の営みへの哀歓と慈しみとが、どのエピソードの隅々までも行き渡り、伝わってきます。

月に親しみ(シンパシー)を感じている人には、広く入りやすい、月との交歓の書となると思います。また、月を僅かでも、自分の表現(もの)としたいと願っている、あらゆる分野の作り手、創作者にとって、この本は、月へのインスピレーションの導き手となる、月の啓示の入り口となる可能性を秘めていると、私は思います。

続編を期待いたします。もしなにか、お手伝いできることがあれば、仰ってください。
谷崎信治

その他お知らせ

「歴史読本」(新人物往来社)正月号が「日本の暦――旧暦の見方楽しみ方」を特集しています。私も「月のリズムで営まれる祭事」を寄稿しています。


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