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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2009年2月14日)

更新の今日は正月二十日。正月明けは西暦の1月26日、小正月の十五夜は2月9日でした。遅ればせのようではありますが、明けましておめでとうございます。

忙しい正月行事も終え、新しい年がようやく始まったと実感しています。小田原で新年を迎えましたが、ご来光を歓迎することができました。小正月にも、天気予報をうれしくも裏切って、十五夜満月を楽しむことができました。

コンセプトハウス「ゆら」にて、歌う枝元さんほか
〈月〉の会・西湘との合同イベントにて。
月暦師走大晦日は〈月〉の会・東京会員の枝元一代さんが
熱唱(小田原・コンセプトハウス「ゆら」にて)
2009年の月暦初日の出 2009年小正月の満月
明けて月暦元日、小田原の海岸から拝んだ
とびきりの初日の出。〈月〉の会・東京オフィスで迎えた
小正月には、気象予報をくつがえして上々の満月が

さて、今回の更新では、お約束していた「月と農業」の続きを綴ってみます。

月と農業 (2)

昨年11月の更新で「月と農業」の一回目を掲載しました。

二回目の今回は、「第一回全国海水(塩)農業セミナー」で私が話した内容について紹介します。

このセミナーに招かれた私は、干満差が最大6メートルという全国一の有明海の、満ちたとき、引いたときの月の力の驚異を実際に見、新月時の大潮の海水を汲みあげてミカンに与える現場を体験することができましたが(実際にはミカンではなくデコポンでした)、私の講演内容も潮汐力に関するものとしました。

月を主要な源泉とする潮汐については二つの側面を考える必要があります。一つは大潮、中潮、小潮など月の相に関わる側面。地球、月、太陽の位置関係に応じて、新月・満月時期の大潮、半月時期の小潮といった潮の状態が見られますが、これは月が地球の周りを公転することから発生する潮汐。大潮時期には海の深部から海水が動くため、ミカン作りに海水を利用するという大胆な発想は栄養豊富なこの時期を生かすわけです。

以上の側面については理解が容易だと思いますが、潮汐力のもう一つの側面は検討すべき重要な問題点があります。月のいち日=24.8時間の内にふつう2回ずつ発生する満干リズムがそれですが、これは月の公転ではなく地球が自転することによる現象です。地球上のある地点の真上に月があるとき(遠心力によって地球の反対側も)満潮、90度のとき干潮を日々交互に繰り返します(月と川のオフィスでこの文を打っていますが、隅田川のこの水位の上下を見ながらの作業です)。

陸地における満干潮のタイミング

さて、満潮、干潮というと、私たちがなじんでいるのは海岸部におけるものです。「月と季節の暦」には東京芝浦の時刻を表示してありますが、これは芝浦でしか通用しない情報で、全国各地海岸部の満干時刻がてんでんばらばらなことはご存知の通りで、補正の仕方も指示してあります。海岸の地形や海の深度などさまざまな要因があって各地の時刻は土地に応じて固有の満ち引きとなるわけです。海岸部や海で仕事する人にとってなくてはならない情報ですし、地震や津波、台風など自然災害時には不可欠な情報となります。

では陸地ではどうなのか、というのがこれまで検討されてこなかった問題です。月の潮汐力は陸地にも働いていて(地球潮汐)、30センチばかり動かしていますが、私たち生命体にもその力が働いています。いつが満潮でいつが干潮なのかというのは海における時刻に準じて考えるわけにはいきません。月が正中(南中)するとき──つまり自分の真上に月があるとき──満潮を迎えるということを基準に24.8時間サイクルで満干を繰り返すと考えなければならないのです。

トウヒ(唐檜)は月のリズムで伸縮している

陸地における生業である農業を考えるとき、満潮・干潮はまだ十分に意識されていない将来の課題ともいえる問題ですが、月の相に関わる潮のリズムと地球自転に関わる満干リズムの両方を視野に入れる必要があると思われます。

ちなみに、トウヒ(マツ科)が満潮・干潮に応じて伸び縮みしているという研究をイタリアの研究者が発表したことがあります。この研究については取りあえず私の本『月 曼荼羅』を参照してください。(未完、各地で夏日を記録、という異常気象の日に)


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