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志賀勝から一言
(2009年8月29日)

好天に恵まれた2つのイベント

例年ならば夜空が楽しめる8月ですが、今年の気候の不順さは際立ったものがあります。8月7日に長野県で「原村星まつり」があり、26日には東京・豊洲の「ガスの科学館」で七夕行事を営みましたが、この二つの催しでは、幸いなことに晴れた夜空に恵まれました。

「原村星まつり」では21時からおしゃべりというスケジュールでしたが(「月と太陽のお話」というタイトルでした)、しゃべり始めてしばらくして演台正面の雲間から月が出始め、煌々と輝き始めたのでした(満月1日後の十七夜の月)。話をしばし中断して思わず眺め入ってしまいましたが、月の話の最中にまさに月が顔見せするとは!、幸運な瞬間でした。

七月七日(8月26日)の七夕の月にも恵まれました。明るい空から青がくっきりし始め、徐々に暗みを帯びていくグラデーションの中で見る月の美しさはいつ見てもいいものです(私はこれを薄暮の美しさと言っていますが、これとは逆に薄明下の月も素晴らしいもので、甲乙つけがたいものがあります)。

(以下、写真6点はクリックすると拡大します)

写真その1
写真その2

写真その3
写真その4

写真その5
写真その6

上左から、東京・豊洲「ガスの科学館」の七夕行事で講演する志賀、その右=母子で笹飾り作りに挑戦、熊坂路得子(るつこ)さんによるアコーディオン演奏、その右=スイカを割って直会(なおらい)を楽しむ参加者、子どもたちに大人気だった中村照夫さん持参の月望遠鏡、その右=七日月をバックに(6点撮影・穂盛文子)

日本社会で一般に言われている西暦7月7日の七夕と本来の七夕の違いがはっきり感じられたのが今年の七夕でした。西暦7月7日はたまたま満月で、満月を楽しむには実にいい月が東京では観望されましたが、牽牛・織女の二星の出会いを楽しむには満月ではまずいでしょう。半月前の欠けた月であってこその七夕なのです。月のリズムに基づいて行なわれてきた伝統的行事を、月のリズムに基づかない西暦に無理やり押し込めた結果こういうことが起きてしまいます。西暦7月7日に罪はありませんが、人間が都合で考え出した七夕=西暦7月7日は本当に罪作りな日付です。本当の七夕は8月26日だったのですよ、と言われれば誰でも頭が混乱してしまうでしょうね。一ヶ月半以上も違ったのですから。

行事を前に『万葉集』で七夕の歌を確認してみました、4500首に及ぶこの歌集の中に七夕歌がたくさん入っているのはお読みになった方はご存知でしょう。中国からもたらされたこの風習が日本で活発に根付いているあり様をうかがうことができますが、たくさんあるその七夕歌の中でも、月を主役の位置に据えて歌われている作品が結構存在していることが見逃せません。星をまつると共に月をまつる催事が七夕であったことをよく教えてくれます。

中国でも事情は同じでしたが、中国生まれの二つの星の説話では織女が牽牛を訪ねる日ということになっていたものが、日本で受容される過程で牽牛が織女を訪ねるように変わっていったのは面白いことです。妻問いの風習が日本列島にはあったからでしょう。七夕をたなばたと読むのは不思議な読み方ですが(音読みでシチセキとも読めます)、これは棚機(たなばた)つ女(め)からきたものだとされ、日本列島古来の習俗が中国の風習に重なり合ったことと共に興味深い受容の歴史が想像されます(こういう歴史を振り返ってみると、七夕における重要な要素は二つの星ではなく、月と水ということになりますが、指摘だけにとどめます)。

国立天文台の呼びかけがあり、今年も多くの天文関係者が星空観察の行事に取り組むなど、七夕の本来の日取りが訴えられているのはいいことですが、催事としての七夕が全うされているかどうか気になるところです。私たち〈月〉の会・東京の七夕行事では月をはじめとする星空観望も含みますが、催事としての中身が大分充実してきました。今回の七夕では「ガスの科学館」や私たちの呼びかけで子どもも多く参加、大人も子どもも願い事が叶ってほしいいい機会になりました。写真(前掲)で行事の流れをご覧下さい。

「読売新聞」夕刊(8月26日付)
七夕当日「読売新聞」が夕刊(8月26日付)で月見について
私のコメントや〈月〉の会の活動を大きく取り上げています。
いい七夕記念になりました。

(9月7日補充)

京都・その1
月暦七夕を祝う方々が増えてきました。京都下鴨の広東料理老舗「蕪庵」でも初めての行事が企画され、営まれました。写真が届いたので、七夕報告の補充として掲載します。

行事は「蕪庵」が招待する形で営まれ、参加者は85名を数えたとのこと。お店のご苦労は大変だったことと思われますが、伝統的七夕が京都において復活したのは本当に画期的なこと、歴史の記録に留めたいものです。


京都・その2
京都・その3

京都・その4

京都・その5
京都・その6


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