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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2014年8月30日 月暦八月六日)

津山市、少林寺での交流

新しい暦の制作で忙しい時期になりました。ちょうど一年前、40度を越す高熱に4日間苦しめられ、暦制作に赤信号がともり、予定されていた二つの講演もキャンセルするという本当に異常な事態が続きました。

幸い、今年は無事に暦の作業を進めており、長野の「原村星まつり」での講演、そして岡山・津山市の少林寺(曹洞宗)での講演も責を果たすことができました。


津山市・少林寺での講演光景その1

少林寺の「禅道場体験会」の講演はとくに気掛かりとしていたもので、子どもたちに月のことを話す機会なので大事な場。8月21日にその場がもたれましたが、地域社会に少林寺が確固として存在していることを示すように、70人近い子どもたちが集まったのにはおどろきました。小学生1、2年生が多く、月についてやさしく、やさしく話そうとは思いつつも、どれだけ分かってもらえたかは不安ですが、何かは記憶に残してくれることでしょう。お寺の中では静かに、という大人の制止にもかかわらず、広い本堂の中を駆け回る子どもたち。むかしお寺がそういう場所だったことを知る者としては、うれしい光景を見ました。

津山市・少林寺での講演光景その2
少林寺の清涼晃輝ご住職は、岡山県の曹洞宗青年会の方々との懇親の機会を設けてくださり、和気藹々の会話が弾みました。とても絆の強い方々だなと感心しましたが、月暦(旧暦)大晦日に昼間だけれども除夜の鐘をついているという方がいらっしゃり、それを受けて、持ち回りでもいいから旧正月を迎える行事ができたらいいですね、という話に発展していきました。この話で大分盛り上がりましたが、来年かさ来年、本当に実現するかもしれないと期待が持てます。

正月行事は、太陽と見えない月に拝み感謝すること、若水をいただくこと、の二点を図って生気を養うことが何より重要で、他のことはオミットしてもよいぐらいに大事なことです。少林寺には湧き水が豊かに流れていて、いながらにして若水がいただけるお寺でした。新時代を告げる「時の鐘」が本当に鳴るかもしれません。

寄稿の近況、十三夜企画のこと

「中日新聞」8月12日夕刊連載「この国のカタチ」にイスラム世界の三日月信仰が紹介されています。その中に私のコメントも入っていて、三日月はじめ月のさまざまな相がかつては日本で親しまれていた、という重要なポイントをひろってくれています(イスラムの月信仰は、正確には三日月信仰ではなく、視認できる二日月や三日月を尊ぶことなので初めて見える月という意味での新月信仰といった方がいいものです)。

中日新聞と同じ名古屋に本社がある老舗の和菓子屋「両口屋是清」が発行する「いとをかし」に「後の十三夜」の一文を寄稿しました。今年は「名月」が三回ある特別な年で、「閏九月」が入っているため、八月中秋の名月、九月十三夜に次ぎ、閏九月の「後の十三夜」が楽しめる年なのです。

※両口屋是清のWebサイトにある下記リンク先で、最新号の『いとをかし』を閲覧できます。該当号の目次をクリックしてください。発行日(9/8以降)に上述の21号を公開予定です。紙での送付希望は、お問い合わせフォーム、フリーダイヤルで受け付けています。
http://www.ryoguchiya-korekiyo.co.jp/cl01_1/

閏月が入ることで月と太陽のリズムを兼ね合わせた暦のこういうチャンスを生かすことが面白く、以前閏七月があったとき「後の七夕」を催したことがありました(つまり七夕が二回あったときでした)。実はこの「後の十三夜」、21世紀中には二度と機会がなく、文字通り“世紀のイヴェント”になるので捨てておけません。私たちは、中秋の名月は長野県佐久市望月に存在する「月輪石」の参拝とともに迎え、十三夜は東京・調布の深大寺で催し、そしてこの特別な十三夜の月見についても集いを企画しようと、〈月〉の会・南アルプス、俳句誌「今」の方々、今年結成された「しつらい」グループ「ゆずりは」の方々と相談していたところ、両口屋是清から特別な月の和菓子を作りたいという話に接しました。月見の催しにまさに一味添えられる形になるわけで、ありがたいことです。後の十三夜は西暦では11月5日、南アルプス市にある重要文化財・安藤家住宅を会場に催しは計画されていますが、詳細は追ってお知らせします。

「発見 月の名所 月の望月」を連載(前回掲載分はこちらをクリック)していますが、暦、手帳の制作時期と重なり 4回目の連載が遅れています。岡山に行ったとき県立図書館に寄り、60年前の貴重な論考「月の輪伝承の系列について」を見てきました。岡山では月の輪の名をもつ田が多くあったことが分かり、「月輪」をめぐる信仰が想像以上だったことに衝撃を受けました。お読みくださっている方には申し訳ないですが、今しばらく続きをお待ちください。


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