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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2015年10月8日 月暦八月二十六日)

月暦は二十周年を迎えました



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暦の制作を始めたのは1996年のこと、バブルの狂騒が終わり、次の時代への展望が模索されていたときでした。97年版が第一年目でしたが、共同通信が取り上げたこともあり、月暦(=旧暦)の珍しい暦として一気に全国に知られるようになりました。

以来二十回目を数える2016年版を制作し終わったところで、今印刷に付して出来上がるのを待つばかりです。二十年分の暦表紙を一覧にして掲載しましたが、一年一年よくもさまざまな企画を打ち出してきたものだと、制作者として感慨ひとしおです。

記念の暦ですから、今回は三つの特集に励みました。「歳時夢幻──在りし夜の月」、「月暦二十周年記念 暦と私」、「月で読む萬葉集」の三特集です。

「歳時夢幻──在りし夜の月」は、日本が近代化の過程で失った「月の時間」を回顧するもので、月と共にあった歳時がどのようなものであったかを一目で分かるよう絵とエッセイで提示したもの。ずっと企画したいと考えていたものですが、これまでは絵がそろわず断念していたテーマでした。昔の暦が廃止されて以来さまざまな歳時が消滅していったものですが、この特集のような回顧が試みられるのは初めてのことだろうと思います。

「月暦二十周年記念 暦と私」は暦利用者に執筆をお願いしたもの。農家、芸術家、医者などさまざまな分野の方々にお願いしましたが、暦が機縁となり初めて月見の催しを始めてくださるお寺が出てきて、その報告を兼ねて執筆をお願いした結果、四寺(浄土真宗、曹洞宗、真言宗、浄土宗)の僧籍の方々の原稿が載っているのが異色です。芭蕉の「月影や、四門四宗も 只一ツ」の趣ですが、地域社会での寺院の役割が見直されている中、その気運の一助になればと思います。

三つ目の特集は「月で読む萬葉集」。月の観点から萬葉集を読むと面白さが一段と輝きを増しますが、これまでは萬葉集と月という専門的な視点で詠まれることはなかったように思われます。月と古代人の交感を十二の項目に分類し例歌を提示したのがこの特集。月に対する神話的な交感から『古今集』以降の雪月花、花鳥風月的な観賞の対象としての月へ、という過渡として萬葉集は存在しています。月を介して萬葉集を読むのでなかったら、本当の面白さに迫れないことは確実、萬葉集が新しい読み方で読まれていくことを願います。

人間生活にふさわしい暦、必要な暦とはどのようであるべきかを思い、試行錯誤しつつ暦制作を続けてきましたが、発行以来二十年目を迎え完成した暦に近づいたとようやく自信をもって言えるようになりました。暦のもつ力が多くの方々の生活の利便に供されていくよう心から願っています。(ご注文はこちらをクリック

月暦手帳も十一年目


2016年版手帳表紙
月暦カレンダーの携帯版として生まれた、124mm×80mmのミニ6穴のリフィルです。

昨年大きく構成を変え、月暦と西暦の対象がより見やすくなりました。毎年、素材にこだわった特製ヴァインダーを作成して参りましたが、今年は表紙に“柿渋染め美濃手漉き和紙”を使い麻紐で和綴じした、そのまま使える“和綴じ月暦手帳”も制作いたしました。詳しくは「2016年版月暦手帳」をご覧ください。(この項、穂盛文子筆)

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