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第十話(月暦一月二十二日) インドの美と月

イスラム圏と並んでインドでも月は美のたとえとして常套的に用いられるシンボルになっている。

叙事詩『マハーバーラタ』中の有名な一篇「ナラ王物語」は、ナラ王とダマヤンティー姫の数奇な運命の物語だが、この一篇のなかにもたくさんの美=月・月光の形容が見られる。顔は満月に似てうるわしい、「満月にもまごうお方」、「あたかも満月の明光に似て、全世界の憧るるお方」、輝きは月の光も恥じ入らせるほど、等々、ダマヤンティー姫の美しさはこのように月に見たてられ、逆に憂いや顔のかげりも、悪魔のラーフが月の明光を奪ったときのようなとか、秋の三日月のような憂いというようにも月が使われている。

この一篇からはまた、占いにおいては月の状態が決定的に重要だったことを知ることができ、月は美の象徴だったばかりでなく、「月の神は生きとし生けるものの窮まるところ」と表現される死の支配者としての一面も知ることができる(鎧淳訳、岩波書店)。

(更新日:2007.3.11)


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