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第十二話(月暦三月十八日) 潮汐力の「発見」

万葉和歌に「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎいでな」(額田王)があるように、航海に欠かせない潮の状況は月が左右するものであることは、海と親しく暮らす人びとにとっての知恵であったろう。

このような経験的な知恵が近代的な科学のことばで綴られるには、ケプラーを俟たなければならなかった。彼は、太陽と月との「磁力に似たある種の力」が海水を引っ張るのでは、と考え、近代科学的な潮汐力の発見へと大きく舵を切ったのである。この力においては月の力の方が大きいこと、月と地球がお互いに引っ張りあう相互作用があることも彼は注目している。

そのケプラー自身、海洋の潮汐は地球―月―太陽が90度の位置にあるより朔望の時の方が大きい、という話を経験豊かな水夫から聞いていて、役に立っている。経験知と科学が幸運にも結びついた潮汐力発見の史実である。(ケプラー『ケプラーの夢』渡辺正雄・榎本恵美子訳、講談社学術文庫参照)

(更新日:2007.5.4)


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