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月と季節の暦
志賀勝から一言(2005年3月6日)

第四回暦開きの会
(月暦正月十五夜=西暦2月23日)

〈月〉の会の恒例行事となった暦開きですが、今年も十五夜の見事な月のもと、昨年同様浅草・ホテルニュー魚眠荘で開催しました。

今回の特徴は、「現代農業」を発行する農文協、日本農業新聞、全国農業共済協会の農業メディア三団体がそろい踏みしてくださったこと。農業新聞は、一昨年末、月と農について連載を掲載、既成の農法や自然災害に悩む多くの農家に歓迎されました。「現代農業」は3月号で「月と農業」を特集、ファンの多い同誌読者に衝撃を走らせたかのように、暦制作室のもとには、全国の農家から、そしてアメリカからも連絡・注文がひきもきりません。農業共済が発行する「月刊NOSAI」は、わたしの連載、「『月の出(番)』です!」の掲載をはじめています。月を手がかりに、あたらしい農業の可能性が拓けていき、実りがもたらされることを心から願います。農業関係の編集者がこうして集まり、交流を深めてくださったことは、なによりのうれしいトピックスでした。

〈月〉の会・三重の小林さんがわざわざ駆けつけてくださいました。6月に予定されている二見浦での夏至=十五夜の催し「日月 二見」に呼応して〈月〉の会・三重でも催しを企画中とのこと。3月26日に〈月〉の会・熱海を立ち上げる梶さんも参加、月の熱海への想いがふくらみました(「月の高野山」での名司会ぶりで会場をうならせた〈月〉の会・大阪の松尾さんも参加予定でしたが、風邪のため急遽キャンセル。残念)。

このほかにも、画家、パイロット、水引家元等々、月のご縁ならではのさまざまなお仕事の方々のお話をうかがうことができ、集まったみなさんに満足していただけたようでした。

月暦正月十五日とはいわゆる「小正月」ですが、かつての日本ではこの日が年間最大の祭のひとつでした。全国津々浦々、おなじこの日にあたらしい年を祝う行事が行なわれていたものです。その実際を、ブルーノ・タウトの『日本美の再発見』(岩波新書)を読み上げることでわたしは参加したみなさんにお伝えしました。秋田県の横手、六郷、大曲の三ヶ所の小正月をおなじ日に巡って実見したこのタウトの記録は、そこに描かれている月の描写とともに、多くの方々に振り返ってほしい「失われた日本」の姿があります。

今年は、例年にも増して月暦による年賀の挨拶をなさった方が多いようです。新年明けの2月9日にあたらしい年の幕開けを感じた方々の声もいつになく多く耳にしました。新年から三日目の三日月の日に、年賀状とは別にメールによる年賀のご挨拶をはじめて試みてみました。わたしのご挨拶はごく簡単な文にすぎませんでしたが、多くの方々が返信を寄越してくださったのは感激でした。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

いただいたご返事のなかから、いくつか転載させていただきます。三人の方々のお便りですが、どなたのものも地域の香り、生活の息遣いを届けてくれるものです。ちなみに土屋さんに掲載許可を求めて連絡したところ、いつも寄稿下さっている佐久町図書館館長・依田さんのお知り合いだと分かりました。どうもありがとうございます。

長野県佐久町 土屋勝治さんからのお便り

新年おめでとうございます
新年早々のご挨拶恐縮に思います。
旧暦のお正月であるので、やはり新年なのですね

私の住んでいる信州佐久地方は、とても寒いお正月を迎えています。近年に比べて雪も多いし、寒さも厳しいように感じます。

今日、庭の雪の解けた土の上に福寿草がいくつか咲いていました。確実に春になってはいます。

よく日の当たる土手や畑は黒い土が見えていますが、ちょっと日陰になるとかなりの積雪です。

元旦に散歩をしていましたら、林檎の畑におびただしいムクドリの群れが降りて大騒ぎをしていました。

今夜は4日の月です。孫と一緒に眺めました。
オリオンもでていましたが、周りは薄曇で他の星が見えなく、残念でしたが、春霞であってくれればいいと思います。

これから私のふるさとは「春は名のみの風の寒さや」がしばらく続きます。信州は「早春の賦」の歌詞の季節が長いので、この頃よく歌われます。

私の居間には、月暦が飾られています。
この一年ご厄介になります。
よろしくおねがいします。

新潟県 Yさんからのお便り

早々の賀状メールありがとうございました。パソコン不調のため、拝読するのが遅くなってしまい、返信が遅れました。申し訳ありません。今年は、近年にない大雪で、新潟は昨年来の地震や洪水で大変なところへ持ってきて、困っていましたが、どうやら峠を越えたようです。海の色も春の訪れを感じさせる、柔らかな色に変りつつあります。月暦では今日は人日です。月暦を拝見しながら、俳句の季語をかみ締めさせて頂いております。
今年も良い年でありますようにお祈りして………。

人日の艪(ろ)臍(へそ)軋しませ船帰る

山形県天童市 Tさんからのお便り

この度は『月と季節の暦』お送り頂き、誠に有り難うございました。本日、代金を振り込みましたので、お納め下さい。
冬の山形も、このところ良い天気に恵まれ、宵に月を仰げる日が続いております。仕事から帰って、月齢を確認するという楽しみを得ることができました。
私事乍ら、稲垣足穂を愛読し、NHK『みんなのうた』で知った『月のワルツ』という曲を愛聴していた折も折、この暦に出会えた(読売・山形版の、たなかさんの記事です!)のは、本当に幸いでした。志賀様がご覧になった『黒川能』はおろか、能を見た経験すら殆どないにも関わらず、昨年より仕舞を習っており、日本の伝統文化に深く関心を寄せるようになってもおりましたので、古来の暦に触れることが、そうした伝統文化への理解と共感を培うための良い導き手にもなってくれそうな気が致します。出逢う可くして出逢えたのかも知れません。ホームページもマメに覗かせて頂くことにします。本当に、有り難うございました。

黒川能と西浦田楽

山形県櫛引町役場農政課の蛸井さんとのご縁で、2月1、2日に「黒川能」を取材することができました。黒川の住民みずからが芸能者となって徹宵の演舞を繰り広げる名にしおうこのお能を観劇できて幸いでしたが、念願だった、子ども演ずる「大地踏み」も観ることができ、わたしが考えていたことが誤りでなかったことを確かめました(黒川能についての短文の印象記を先述の「月刊NOSAI」3月号に載せています。この雑誌の連絡先は電話03−3263−6415です。是非ご連絡ください)。

蛸井さんご自身、役場でお仕事なさりながらお能の小鼓奏者でもあります。この方から教えていただいたことは多く、黒川能や地域についての深い知識と洞察に敬意を感じていました。そのような蛸井さんが、かえってわたしのような者でもと講演に呼んでくださいました。別掲スケジュール欄をご覧ください。

月遅れ正月の行事である「黒川能」を訪ね、わたしにはかねて気がかりであった静岡県水窪町の「西浦(にしうれ)田楽」を訪ねねばという思いがこみ上げていました。こちらは月暦正月十八日の正月行事。静岡県菊川町の大嶽幾代さんが以前から貴重な情報を寄越してくださっていた行事です(以前の暦のなかで、「如月の二日月」という文を大嶽さんは寄稿してくださっています。おかげで「二日月」は全国に名を知られることになりました。「暦開きの会」にいらしたある方も、二日月を見るためにポイントを決めて出向く、とおっしゃっていました。ちなみに、「如月の二日月」はこの3月11日に見られます。どうぞみなさん、この日夕刻西の空を!)。

黒川能の写真
「黒川能」で子どもが演じた「大地踏み」(2005.2.1)
西浦田楽の写真
月暦正月十八日の月夜に行われた「西浦田楽」の一シーン(2005.2.26)

期待にたがわず、西浦田楽も素朴で土俗的なすばらしいものでした。山間(やまあい)から立ち上ってきた月の美しさといったら、もう形容の域を超えています。読者のみなさまにも是非この居待ちの月に行なわれる神楽を鑑賞していただきたいと願うばかりです。西浦田楽の印象記も「月刊NOSAI」4月号に掲載予定です。

黒川能と西浦田楽を鑑賞して、わたしは自分の仕事に自信を深めることができました。暦作りなどにその成果を生かしていきたいと考えています。

熱海と名古屋であらたに
〈月〉の会が産声をあげます

3月26日、27日に熱海と名古屋で催しが企画されています(別掲スケジュール参照)。この催しとともに、熱海、名古屋で〈月〉の会があらたに誕生します。東京、大阪、長崎、三重に次いで、五番目、六番目の会成立となります。月や暦への関心がいよいよにぎやかになってきました。しかしまた、10年、20年というゆっくりしたスピードでいいですから、全国に月の会が広まるといいなと思います。

名古屋での正式名称は「月を楽しむ会」。連日の結成、二卵性双生児の誕生、大いに記念し、盛りあげたいものです。

〈月〉の会は全国組織でもなく、各地で月や暦を愛好する方々がつながり、地域文化の担い手になればと希望して呼びかけが行なわれているものです。関係する地域のみなさん、どうぞ各地の〈月〉の会にご参加ください。

ヤマサキさんの個展

〈月)の会・長崎の画家・ヤマサキさんの個展「月の絵画展」が東京・青山の「HAYATO NEW YORK 南青山店ギャラリー」で開かれています。3月27日(日)まで。お問い合わせ電話03−3498−9113同ギャラリーまで。


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