トップへ
月と季節の暦とは
<月>の会
志賀 勝
カレンダー 月暦手帳
イベントスケジュール
月と季節の暦
志賀勝から一言
(2006年5月6日)

寒めで不順な気候の4月が過ぎ、快晴に恵まれた5月に入りました。「五月晴れ」と言いたいところですが、さわやかなこのことばを今使ってしまうと、来月の梅雨時にありがたくも恵まれる晴れた日のためのことばがなくなってしまって困ります。快適な今の天気は「卯月晴れ」ということにし、五月晴れは来月にとっておくのはどうでしょう?

熱海の催し直前に今回のHP更新ですが、「新月の木国際協会」の岩越さん、熱海の会の梶さん、伝統行事のしつらいを学んでいる東京の会の高橋さんらとの協同事業が順調に進んでいます。ピアニスト・ウォンさんの集中力も亢進しているようで、月の催しに向けた「気」の充実が実感される日々です。

さて今回の更新は、群馬の農家を訪ねて、行事を月暦で、「しま」誌に寄稿、の順でレポートします。

群馬の農家を訪ねて

特産の下仁田ネギ
撮影:中村照夫さん
(この項5点とも)

卯月に入った三日月の日(4月30日)、〈月〉の会の面々が群馬県富岡市に農業を営む磯貝さん宅を訪ねました。わたしたち都会人にとって切実な問題になっている「食」について教えていただき、自家製作物を食材にした夕食をご馳走になりました。

「月と水」というテーマもそうですが、熊本や山形の農業関係者との出会いを通して「月と農と食」というテーマも具体化していきたい希望がだんだん育ってきて(日本の神話には栽培食物の起源を月と関係付ける印象的なものがありますね)、昨年講演に呼ばれてお付き合いがはじまった磯貝さんの農家訪問を〈月〉の会として企画することになったわけです。この企画と連動するかのような出会いが最近続けて発生、シンクロナイズしたふたつの出来事を紹介します。

農文協の関係で永田勝也さんと知り合うことができ、永田さん手作りのヤマブドウワインは以前頂戴する機会があって日本の風土にあったワインだなと感心していたのですが、今度は手作り清酒試飲の機会があり、これにも感心させられました(永田さんの本)。その機会に永田さんは手作りコンニャクも持ってきてくださいました。このコンニャクは現在のコンニャクとは似て非なるもので、むかし作りのその美味しさやお刺身にも似たやわらかい食感に仰天しました。わたしたちが常識としたり、慣れ親しんでいるものが実は本物ではない、と教えられたことは貴重な教訓でした。世の中フェイクが蔓延していて、本物探しは現代人の無上の楽しみだと実感した次第(コンニャクに関する永田さんの本が農文協から刊行予定とのこと)。

さらに、「深大寺十三夜の会」のご縁で秋田県出身者の方と交流が生まれ話が弾んでいるのも最近のことです。この方は秋田県の伝統的な食の良さをなつかしんでいて、その復活を考えています。今秋には秋田の食と月といった企画を進めていて、この企画にわたしも加えてくれています。 食や農についてわたしはもっぱら教えられる立場ですが、月を考えながら農業関係者と交流が深まっていけば、将来生活の質がよほど豊かになっていくことが展望されます。

参加した埼玉・深谷の方の話に、前日に二日月を見たとのこと、細い、細い月だったそうです。うらやましい話でした。月の発見者は子どもだったとのことで、この「手柄話」をきっと子どもは長く忘れないことでしょう。二日月を見逃したのは残念ではありますが、この子どもの話には心を和ませてくれる作用があります。

(各写真はクリックすると拡大します)
写真2 珍しい葱坊主に女性たちも大喜び
写真1
のどかな初夏の上州路
写真3
自然農法のベテラン磯貝さん(左)から「農と食」の貴重な話を
写真4
食卓を囲んで。三日月は帰路の車中でやっと拝むことができました

行事を月暦で

「CX-PAL」68号

SONYの広報誌「CX-PAL」(VOL.68)のインタヴュー記事「月暦と暮らしのリズム」 掲載誌が届きました。わたしが語ったこと、伝えたいことを漏らさず、表現力のある編集者が原稿化してくれていて、とてもありがたい記事です。

「月と季節」を見直すことは、もっとも身近な道として五節句をきちんとむかしの暦通りに楽しむという早道があります。わたしも幸いにして今年は、大晦日から正月、七種、小正月、桃の節句をそれなりに楽しむことができていて、連載中の「月刊NOSAI」でも五節句の意味を二回にわたり書き留めたりしています。

先日大阪から知人が訪ねてきました。この方からもお孫さんの桃の節句祝いをちゃんとした日付けでやったという話を聞き、新しい気運がやはり生まれているのだという感を抱きました。その話の記憶鮮やかなとき、今度は平塚のある保育園でも月暦による伝統的行事をはじめているという話を聞きました。去年8月に「秋立つ日 夕月を待ちながら」という催しを開いたことがありますが、これに参加された保育園の方が、七夕を機に行事を見直したというのです。聞き捨てにしてはならない話なので、早速に報告をお願いしましたら快く応じてくださいました。以下の文、どうぞご覧ください。

「おおぞら保育園」様からの報告

「しま」誌に寄稿

わたしの志賀という名前には古代海人の名残が留められていますが、それかあらぬか〈島〉というものに対してはいつも魅力を感じてきました。海に囲まれ、小さく自足的であり得る島は、わたしにとってロマンな小世界です。多島海としての地中海、朝鮮半島南部の島々、インドネシアを囲む島々、そして瀬戸内海の島々のことがよく頭に浮かんできます。

「財団法人 日本離島センター」という団体がありますが、これは民俗学者・宮本常一由来のなかなかいい活動をしている団体。ここ数年、この団体の方々とお付き合いがあり、季刊の雑誌「しま」最新号には「屋久島の月」というタイトルで巻頭言を書かせてもらっています。

懇意にしている長崎の方から、最近偶然にも(!)壱岐の方を紹介されました。壱岐は月読神社発祥の島で、早く訪ねたいとかねて願っている島。昨年おなじ離島センターの雑誌に壱岐と海と月について少し書いたものがありましたが、壱岐の方にその拙文を早速に見ていただきました。急速に壱岐島が近くなってきたような思いがしました。どうでしょう、島好きの方、壱岐島行きにご一緒しませんか!(了)


≪ 第二十九回へ 第三十一回へ ≫
志賀 勝のトップへ
Copyright(C)2006 月と太陽の暦制作室 志賀 勝