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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2007年2月10日)

月暦新年が間もなく明けます。

昨新年は熱海で迎えましたが、赤い金星と海に走る金星の道、そしてご来光に至る空と海のドラマに参加者一同目を見張り、新年とはこういうものかという思いに満たされた年明け体験でした(昨新年の記事へ)。

今回の年末年始も熱海で「月暦新年を祝い、食を楽しむ会」を開くことになりました。

昨年の金星に変わって、今回の楽しみは木星です。海に走る木星の道を見ることがでるでしょうか? 木星の東寄りには「夏の大三角」であるベガ、アルタイル、デネブが輝き、太陽光の登場とともに姿を消していくはずです。星のわりとよく見える熱海で、朝まだきの夜空が刻々と変化していく様を見ることができるか、これが今回のポイントの一つです(2月18日の日の出は、中央標準時で6時25分です)。

新年会は、本物の「食」にこだわりを

もう一つのポイントは「食」。食を楽しむ、と銘打っての忘年・新年会ですが、昨年同様〈月〉の会会員の白倉さん手打ちの年越しそば、新月の木国際協会の岩越さんがアレンジする餅つきのほか、今回は天然酵母パンで有名なル・ヴァン(渋谷区)を経営する甲田さんや、ヤマブドウワインや江戸伝来のコンニャク造りで私たちを啓蒙してくれている永田勝也さんの参加が見込まれ、持参してくださるお手製のものが期待されますし、会員で秋田出身の井山さんが秋田料理のしょっつる鍋を披露してくれる計画で、熱海で準備に奔走してくださっている寺門さん、平岡さんが持ち寄る地元産の有機野菜を食材にする予定です。多彩な食が楽しめる会になりそうです。

神話世界は「月と食」が一つながりであることを伝えています。月暦新年は新月の日で夜空に月はありませんが、誕生する月とともに今日の食の問題、そして食本来の楽しさ、ありがたさを考えさせる機会となるでしょう。

新年会の計画は、前回のHPでお知らせした奥州市の幼稚園でも図られていますし、〈月〉の会・東京の「事業」として今年は「初夢宝船」を制作しましたが、その制作者である神戸の池上さんもはじめて仲間が集まっての新年会を予定しているとのこと。各地の人びとがあい共に新年らしい新年を祝おうではないかという気運の高まりを感じます。このHPをご覧の皆さんも、もう一週間後に迫ってはいますが、ささやかでもよろしいでしょうから新年の祝いを計画なさったらいかがでしょう。スケジュール欄をご覧ください。

深谷市、佐世保市からのレポート

忘年・新年会には会津の湧水が運ばれる予定ですが、「月と水」もわたしたちにとって非常に大事なテーマ。師走三日月の日(1月21日)に結成されたばかりの〈月〉の会・深谷では、新年に「若水汲み」をやるそうです。その計画を含め、結成の集いについてのレポートをお願いしましたので、どうぞご覧ください。

〈月〉の会・深谷、栗林孝安さんのお便り

ムーンストーン玄関

談笑する秋吉さん=立ち姿

志賀講演「水と食べ物と月のお話し」

深谷ネギを焼く栗林さん
(各写真はクリックすると
拡大します)

大勢の東京の会の応援を得て、埼玉の深谷の地に<月>の会が誕生しました。2007年1月21日<月暦十二月三日>この日は三日月。若月のように生まれたてで小さいけれど、深谷の天心にあって清(さや)かな月光を届けたい、と願っています。
当日は、月のお店ムーンストーンの開店1周年記念でもありました。東京、京都、多摩、富岡、本庄、そして地元の深谷から総勢32人で、創作カレー3種、手作りサラダとケーキ、自家焙煎コーヒー、名古屋の三日月ブレンドコーヒー等、秋吉さんの心尽くしのお料理を囲んで、和やかに心温かく、そして“おいしい”ひと時を過ごすことができました。深谷の子ども達の冬の定番、たき火と焼きネギも楽しんでもらいました。
この日は特別にお月様先生の志賀さんの講演があり、知性の花のプレゼントを頂きました。月と水、月と食との切っても切れない深い関わりのお話です。あらためて月の持っている力の大きさに驚き、生命や暮らしや地球環境に寄せる思いを深くすることができました。また、これからの<月>の会・深谷の活動の方向性を示してくれたお話だとも思いました。
今後<月>の会・深谷は、東京の会との“親和性”を保ちながらも、天文の専門家中村さんを講師に迎えての夜空の月と星の観察会、七草がゆや七夕や十五夜等の行事、富岡の磯貝さんの緑肥無農薬米・野菜の共同購入、本和ろうそくと燭台の販売、若水取り、下仁田のこんにゃく作り名人や赤城の養蜂家との交流等、深谷独自の活動を通して、月に遊び、月を楽しみたい。そして、私達の生命・暮らし・環境に月の新しい形の復権を望んでゆきたいと思っています。
誕生にあたって、多くの人のご支援に感謝します。(<月>の会・深谷のホームページが開設されました。

若水とは古代語にあった「変若水(をちみず)」を引き継いだものと思われますが、この変若水は月がもたらすと考えられていた生命を若返らせる水のこと。新月の日に汲んだ水をいただき、その水を使って調理することは、かつては一年の節目を迎える最重要な行事の一つでした。深谷の方々の発想、試みは、それ自体私たちの精神を若返らせる作用があります。

もう一つ報告をご覧ください。活発に活動している〈月〉の会・佐世保からのものです。

〈月〉の会・佐世保の近況 田中千鶴さんのお便り
一月二十一日(日)午後六時五十分、福岡空港に下降し始めた飛行機の窓越しに細い眉形の二日月に遭遇し、暫くの間(十分程)クギ付けになりました。
その日は、日本人のお守りで、月神を象徴していると伝えられている勾玉を身につけて出雲大社に参拝した帰りでしたので、さっそくのご利益に嬉しくなりました。
二十七日は、天文協会と〈月〉の会との合同新年会が天文協会の松本会長宅で催され、さっそく二日月の話をしましたらそうめずらしくないとのお話で、いつも天文観測されている方々はチャンスが多いと実感させられました。
会長宅の大きな天体望遠鏡(40cm反射望遠鏡)での土星観察は、〈月〉の会メンバー全員初体験で大感激でした。上弦の月も美しい光を放っていました。
今後も隔月くらいで合同例会を設け、それぞれの会の性格を活かし、協力しながらより広い展開にして参りたいと思っております。

さて、2007年版「月と季節の暦」正月のエッセイは甲野善紀さんの「月と古武道」。甲野さんの思想では、本来は「月と古武術」としなければならないのでしたが、「月の道」を特集した関係上、上記のタイトルとしてあります。最近、甲野さんの書いたものを何冊か読み、教えられること、考えることが多々ありました。今回のHPで私の考えをまとめるつもりでしたが、ゆっくりした時間なく、またの日を期します。暦をお持ちの方は、どうぞじっくり甲野さんの文をお読みくだされば幸いです。また甲野さんのHPにも、ぜひお立ち寄りください(了)。


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