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志賀 勝
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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2007年9月9日)

なんとか天候に恵まれた
月蝕ショー 深い満足感

皆既月蝕から満月へ
皆既月蝕から満月へ。静岡県
水窪にて(撮影:寺田幹雄さん)

8月28日の皆既月蝕は北海道や九州・沖縄、関西の一部で見られたとの報道ですが皆さんのところではいかがだったでしょう? 今回の月蝕は皆既月蝕でもあり、「月出帯蝕」という希少価値の貴重な機会でしたが、事前の報道をチェックしているとその点がきちんと説明されていませんでした。

私たちは静岡県の水窪町での催し「月待ちin 天竜水窪」で月蝕に臨みました。28日という日はちょうど気候の変わり目の日で、事前には雨の予報、月蝕を見るのはむずかしいのではと懸念しましたが、結果は成功の上に大の字がつく立派な皆既月蝕を楽しむ会になりました。山の端からの赤銅色の幻想的な月の出現に始まり、左下から光り始めて逆三日月型の輝き、そして満月となる二時間弱をさまざまな催事を楽しみながらの月見となりました。

講演会場(水窪文化会館)
講演する志賀 澤元教哲さん
主催の「天竜TSドライシステム協同組合」の森理事長はじめとする方々や「マロニエの里管理運営組合」、「天竜みさくぼ森の学校構想実行委員会」のご尽力の賜物ですが、特に協同組合の榊原正三さん(浜松市・榊原商店)は催しの成功のために実に八面六臂の大活躍。お蔭で、晴れやかな深い満足感を与えられた一日となりました。

前回のHPで触れたように、月蝕観望の場は水窪町西浦の観音堂。月が現われる前、西浦田楽保存会の高木虎男さんのお話をうかがい、そして「高砂」ほか三曲を演じていただきました。月見の機会に、こうして一般の人びとに対し芸能を披露してくださるのは、おそらく西浦田楽史上初めてのことではないでしょうか。演じる方々ご自身が楽しんで演じているその素朴な姿に、多くの観衆は芸能の原点に深く得心がいったことでしょう。演技者・観衆一体のすばらしいシーンでした。

三曲目からアンコールに移る間際、ついにとんがった山の尾根から皆既蝕下の赤い月。まさに絶妙のタイミングの月の登場でした。人間の文化を自然が応援し、人間の文化が自然を称える、ごく普通でありたい人間ならではの営みが西浦で叶ったのです。私たちの精神がどれほど高ぶったか、きっと読者の皆さんも想像していただけることでしょう。

催し第一部講演の部では水窪出身で宮大工の澤元教哲さん(天峰建設社長)のお話。その経験談はとても勉強になりました。私の講演では、ビデオ制作専門家の穂盛さん(〈月〉の会・東京)が急遽作ってくれた13分のビデオも上映しました(タイトル「月を文化に」)。

(ビデオは静岡・愛知・三重三県で展開してきた月の催しをまとめたもの。さまざまな土地を駆け抜けてきたものだと感慨ひとしおでした。忘れがたい月のシーンが数々収まっています!)

西浦田楽の特別披露
袋井手筒花火
月待ちの部では、袋井市から「袋井手筒花火」の面々も駆けつけてくれました(火薬の詰まった筒を手に吹き上がる花火は実に壮絶なもので、火の粉をものともしない花火師の勇気は人を驚かせます。蝕が解けはじめ、左下に光が発しはじめたとき、花火が点火しました)。地元の雑穀料理レストランの「つぶ食いしもと」は穀物を素材にした精進料理を参会者にふるまいました。掛川市の西村栄男さん(写真家)は手製の望遠鏡を持参、木星(四つの衛星)や月を参加者の皆さんに見せてくれました……

このように、多くの方々がヴォランティア精神を発揮し盛り上げてくれた催しでした。

私たちを楽しませてくれた西浦田楽の方々ですが、ご自身らが楽しんだとうかがったときは胸がこみ上げてしまいました。さらには、また来年このような催しをやろうではないか、との高木さんのご提起。どう受け止めたらいいものかいい言葉が浮かびませんが、歴史が少し動いたような不思議な感慨でした‥。「月の文化」に新しいページが開くことでしょう。

2008年版の月暦ほか、鋭意制作中です

☆〈月〉の会の事業のため、本業である「月と季節の暦」と手帳の制作が遅れていますが、2008年版を今急ぎ制作している最中です。暦の特集は、絵特集としてユニークな月の画家・月岡芳年が百枚も月の絵を描いた「月百姿」から十二点、読み物特集としては「月時計」のタイトルで月のリズムを生物時計として生きている生物たちについての物語です。

次回HPで詳細をお伝えするつもりですが、手数料が当室持ちとなる予約の期間は10月末締め切りになっています。ご注文の時期をご注意くだされば幸いです。

西尾市と近郊の皆さまへ

☆愛知県西尾市で「西尾・月を楽しむ会」が作られます。西尾市はもと城下町、古い趣を残している土地とのこと。結成の9月23日(秋分の日)には「月酔 観月 in 西尾」が開かれることになり、私も出向いて講演予定。別掲チラシをご覧ください(クリック)。

愛知では名古屋市でもまた11月24日(土 月暦十月満月)に催しが計画されています。〈月〉の会・三重と名古屋の月を楽しむ会合同の企画で、MASAYA のピアノ演奏と私の講演が予定されています。名古屋市青少年交流プラザで15時から。終了後観月の二次会。詳細は次回HPにて紹介します。

以下、ご縁ある方々についての情報です

〈月〉の会・深谷 秋吉裕子さんからのお便り
深谷の七夕

深谷の月の会は、家族ぐるみ、子供が多いのが特徴。今年の七夕は、日曜日ということもあり、交流会も兼ねてできるようにと企画しました。

場所は、深谷市の「もくせい館」という施設です。ここは市が所有する高齢者青少年の活動のための施設で、会議室など公民館と同じような設備のほかに、お風呂もあり、また大きな特徴として、屈折20センチという立派な天体望遠鏡を備えています。この望遠鏡で、月と星を見せてもらうというのが、この日のメインイベントでした。

午後2時に集合し、外のバーベキュー場でカレーライス作り。暑かったです! 子供たちは子供用プールで大はしゃぎでした。プールも終わりおなかが空いて集まって来たころ、七夕の願い事を書きました。栗林さんの畑で元気に育った桑の葉に、筆ペンでも墨汁でもなく、久しぶりに墨をすって書いたことが、心を新たにしてくれたように思いました。

「カレーを食べる前に、願い事を川に流しに行こう」という頃になって、遠くでごろごろと雷の音が……近くの荒川へ行き、桑の葉を流す。子供たちは本当に水が好きで、さっきプールから上がったのに、もう川で遊んでいました。

いよいよ食べる時になって雨がぽつぽつと……それでもおなかいっぱい食べ、自分のお皿を荒い終わる頃、雨と雷が激しくなり、館に戻りました。宮沢賢治の「星めぐり」等七夕の歌を歌い、職員の方から七夕の話を聞き、七夕のビデオを見せていただき、雨のため夜空を観ることはできませんでしたが天体望遠鏡の見学をさせていただきました。最後は、会員の長野さんが用意してくれた冷たい抹茶と和菓子をいただき、解散。栗林さん、丸山さんふた家族は、持参のテントで予定通り泊まりました。

この日の参加は32名、そのうちの半分以上は子供たちでした。もくせい館の方は、私たち月の会の活動に興味を持ってくれて、これからも協力していきましょうと言ってくださっています。今後の活動が広がりそうです。

*ムーンストーンのホームページができました。
http://moon.shop-pro.jp/

☆『竹女ぼさま三味線をひく』の著者佐藤陽子さんからホームページを開設したとのお便りが届きました(こちらをクリック)。佐藤さんは宮沢賢治『銀河鉄道の夜』に由来する「はくちょう駅」の駅長さんです。

☆作曲家の高田森さん(21世紀音楽の会会員)からお便りをいただきました。拙著『月的生活』をお読みくださったとのことで、暦を使っていらっしゃいます。二十四節気をテーマに作曲をなさっていて、この度同会の第六回演奏会で作品「二十四節気からの集音」を初めて発表なさるとのことでした。9月26日(水)19時より東京文化会館小ホールにて。同会のHPはこちらです。(了)


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