三日月から始まって上弦、満月、下弦と、月は規則正しく地球の周りを平均29・5日のサイクルで一周しています。「ひと月」というのは古くからこのサイクルをいう言葉で、月暦はこの月のリズムをもとに作られているものです。月の好きな人はもちろん、月は生命のリズムに深く関わっていますから、出産関係者、農業・漁業、芸術家、古典文学愛好家、俳句関係者、小・中・高の先生、東洋医学・西洋医学関係者などすべての職業にわたり、老若男女世代を問わず利用されているのがこの月暦。月の光はすべての人びとを遍く照らすといいますが、なるほど月を必要としている人がこれほど多いとは作り始めたとき(1997年)には考えも及ばなかったことです。
さて、西暦(新暦)は太陽だけで成り立つ暦ですが、「月と季節の暦」は月のリズムをもとにした月暦で、旧暦とか陰暦といわれるものとおなじです。では月だけでこの暦は成り立っているかというと、全然違います。立春、春分、夏至ということばをご存知でしょうが、これらは二十四節気といわれる、太陽の位置を示す24の節目です。月暦にはこの二十四節気がかならず入っています。ということは月と太陽の両方から成る暦(だから太陰太陽暦です)であって、実際月暦の新年は立春(太陽の節目)に一番近い新月を正月一日(ついたち)とすることになっていて、わたしたちに最も身近な天体の月と太陽の両方が分かる便利なもの。こんな素晴らしい暦をなぜ日本人は捨ててしまったのでしょう?
作り始めたときは、西暦とともにプラスワンでいいと思っていましたが、むしろこの暦を主に西暦を従にすればいいと今では思っています。暦には西暦との対照が簡単に、見やすく表記してありますから、この暦だけで日常生活は十分。毎日は太陽の昼と月の夜からなります。人生を二倍楽しむ秘訣がこの暦にはあります。
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