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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2011年4月28日)

天災、人災のショックでオタオタしている毎日です。暦を使っている福島・小名浜の方で未だ行方が分からない方、原発による土地の被曝で農業をあきらめ今後の見通しの立たない郡山の方……、災害がもたらし、またもたらしつつある全貌がまだ見えない状況が続いています。

「再生」のシンボル・月

最近は「再生」のシンボルである月について語ることが多くなりました。

連載2年目となった「知恩」誌への寄稿ですが、4月号では「月と水」「月と食物」「月と生命」など、人間にとってオールマイティとも思える月の力についてまとめ、5月号では「月と地震」をまとめました。そして6月号用に「再生の月」を送ったところです。詳しくはそちらに当たっていただかなくてはなりませんが、要点は地震というような災害をもたらす影響を含めて地球環境に多大な力を及ぼしていること、そして月が心に働きかける再生への希望とともに身体の維持、再生という物理的な面においても果たしている実際や可能性をまとめたものです。月の領分である波長の短い青い光が大きな意味を持っていること、インドの叙事詩『マハーバーラタ』の表現「月は再生族の王」に改めて光を当てました。

心身回復のためのアプローチ

私たちはよく月見の機会をもち、暦の時間やライフスタイル、文化における「人間の回復」のために、月を楽しみ、月と親しむ、を合言葉に掲げてきましたが、今後の月見においては、心身の「再生」という観点を強調して青い月光に臨んでいくことが必要になってきました。

これまでは農業と東洋医学的アプローチといった問題も特別に重視してきた課題です。両方共にだれもが欠かすことのできない切実な意味をもつ時代に入りました。

野口整体の専門家で〈月〉の会の会員でもある真矢修弘さんが「整体による放射能対策」という文書を送ってくださっています。放射能に対する防衛機能がある盲腸(虫垂)の重要性、解毒の急所である肝臓の重要性、血液に関わる脾臓に関係する胸椎7番の重要性など指摘されています。食べ物については、昆布や大豆由来の味噌、しょうゆ、納豆、それに塩分の摂取の重要性(その他玄米の重要性も一般に指摘されています。私自身は玄米苦手なので五分づき位にしていただいています)。

「人災」の歴史が教えること

ご近所に暦をたくさん購入くださっている方がいますが、原発関係の資料をご親切にもいつも届けてくれます。中川保雄著『放射線被曝の歴史』(技術と人間刊、1991年)も届いた一つ。チェルノブイリに至る20世紀の被曝の現実が良く理解できました。今や私たち(特に乳幼児や女性)がどれほど危険な状況に置かれてしまったか、同書から引用しましょう。

「今日の放射線被曝防護の基準とは、核・原子力開発のためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的・経済的に支える行政的手段なのである」。

さて、仕事は続けなければなりません。「月の名所十二選余話」の連載を別掲します。

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