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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2011年3月5日)

今日から「仲春」

暦を売り出ししている時期はまさに貧乏暇なしですが、西暦2月3日にウサギ年新年を迎えて新年会や小正月行事、そして講演も三つ重なり(講演のタイトルはそれぞれ「月と生命」「月の暦と伝統行事」「月と豆(食糧)」でした)、如月一日の今日(3月5日)ようやくホームページを更新する始末です。



月暦新年最初の月
(三日月、西暦2月5日、
「賢治を読む会」の依田豊さん
─ 佐久市 ─ 撮影。ブログは
こちらをクリック )

暦を使っておられる方々からの最近の情報で記録しておきたいものがありますので、まずその紹介から。

北海道網走郡の農家・横井さんから「月暦講演会」が行なわれた情報が寄せられました。場所は、斜里町ウトロで知床半島の北側にある観光地だそうです。丸米産商という会社の主催で、長年月暦を利用されている内藤嘉彦さんが講師として話されたとのこと(このときの様子がよこい農園ブログ http://yokoichifarm.blog35.fc2.comに詳しく掲載されています)。「月(暦)と農」を考える動きが各地に勃興しているのが実感できます。

名古屋市の農業センターで最近行なわれた農業講習会でも講師が「月と季節の暦」を推奨、これを聴いた方から注文が入るというようなこともありました。多くの農家や農業に興味を持つ方が暦を使ってくださっているのはありがたいことです。

もう一つの誕生日

正月の満月(2月18日)にフードプロデューサー・南清貴さん主宰の会で豆料理をいただきながら講演する機会がありました。南さんのホームページ(こちらをクリック)に講演会の告知が載りましたが、このHPはよく閲覧されているようで、その読者から暦の注文が入りました。今年の暦とともに2009年版も欲しいとの注文でした。その理由はこの年に生まれた子のためにとっておきたいからとのこと。太陽暦とは違う月暦の誕生日があることを理解している方で、子どもは二つの誕生日というアイデンティティーをもって祝福されていくわけで、いいお母さんだなと感心しました。

月暦誕生日についてはたくさんの方々に理解が普及してきました。インターネットでも簡単に分かることですが、暦制作室に問い合わせてきた方々も相当数にのぼります。

月暦で早起きを楽しむ

昨年10月の松江市での私の講演を聴き、今年から「月暦手帳」を使い始めた方からも誕生日の問い合わせがありました。その方のメールには「最近は、雲がなく晴れている日に朝早起きして、土星と月と金星を同じ空に見ることができ感動しました。明日の朝は晴れて、金星と月のツーショットをぜひみたい!と思っています。」とありました。

明け方、夕方の月のある風景はうっとり我を忘れるくらい美しいときがよくあります。今年の暦には何月何日に空を見上げたらそういう光景が見えるのかを具体的に指示してあり、その情報を早速に生かした方の便りを見て「これはしたり」という感じでした。

師走の二十六夜も月と金星が並んで印象的な暁でした(西暦では1月30日早朝)。その美しさに感じ入った方から電話もらいましたが、その方から「二十六夜の月」という言葉を聞いたのがとても新鮮でした。三日月と二十六夜の月の区別がわからない知り合いのおばあさんについても話してくれて、月の諸相を深く理解していることが印象的でした。二十六夜の月という言葉を使うためには、暦をよく見、そして実際の月を見ていなければならないのです。以前のこの欄で、芭蕉の「明けゆくや二十七夜も三日の月」について触れましたが、この句の意味が浸透してばいいなと願います。

そういえば、前回本欄で苦情を掲載した朝日新聞の連載小説ですが、いずれ何らか訂正が行なわれていくようです。

今年は仏教との関係を豊かに

浄土宗本山知恩院発行の「知恩」誌上で「月と季節を楽しもう」の連載を一年続けましたが、好評とのことで連載 Part II に入ることになりました(「知恩」編集部を通して入手できます。連絡先=075-531-2203 )。

暦が十五周年を迎えたので、記念の催しを久しぶりに東京で開くことになりました。卯月十三夜に当たる西暦5月15日(日)に、会場は調布・深大寺本堂(天台宗)。また、11月には曹洞宗の研修会に呼ばれています。

以上は今年の予定で、仏教各宗とのお付き合いが楽しみな一年となります。「月影や四門四宗もただひとつ」(芭蕉)の心を肥やしにしていきたいと思っています。最近は食糧の神である月について話す機会がよくありますが、月のもうひとつ重要な側面は精神に糧を与えること。仏教は月のこの精神性をもっとも大事にしてきた文化でもあります。仏教と深く交わることで、食糧の神でもあれば精神の神でもある月を車の両輪のように発揚していきたいものです。

その他報告

2月16日に「色彩環境計画室」の催し(東京・京橋)において「月暦と日本の風習」と題して講演しましたが、ご参加くださった方々の感想が同計画室のホームページに記載されています(下をクリック)。

http://www.sikisai.co.jp/seminer/seminer3-5.html

「藍生」主宰の黒田杏子さんから句集『日光月光』(角川学芸出版)を拝受。お手紙には高野山の無量光院に「涅槃図をあふるる月のひかりかな 杏子」の句碑が樹っていることなど記されていました。相変わらずご活躍です。〈月〉の会の会員でハーブ研究家の篠原妙子さんからも句集『草姿』(角川書店)が届きました。

同じく会員の方が経営するグスコー出版から出ている『葬られた「第二のマクガバン報告」』は第三巻が出て完結しました。今後食に関して欠かせない本になることでしょう。


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