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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2010年6月19日)

茨城行きの報告ほか

全国が梅雨入りした時候です。農事には不可欠な雨ですが、月暦五月は悪月とか毒月とか別名のある月でもあり、身体や生活環境にとりわけ気を使わなくてはならない時季でもあります。


水戸・桂岸寺にて(集合写真)

水戸・桂岸寺にて。写真は
クリックすると拡大します(以下16点同)
さて、今回は月暦卯月二十三日(6月5日)に茨城県北部・大子町の「月待の滝」、水戸市の「二十三夜尊」(桂岸寺)を訪ねた小旅行の写真レポートです。19人参加の小旅行でしたが、皆さん今までは縁のなかった二十三夜の月待という風習について身近に感じられるようになってくれたのでは、と期待されます。〈月〉の会の企画にはじめて参加された藤本ゆかりさんのお便りも掲載します。

「二十三夜尊」では現在も月暦の正五九(しょうごくと読む。正月、五月、九月のこと)を縁日にしているとのこと、寺の創建は1682年にさかのぼるとのことで、ちょうど芭蕉の生きていた時代に重なります。前回のHPで「芭蕉と月」を取り上げましたが、芭蕉もまた二十三夜月待をした句があるので、続編の「芭蕉と月」を別枠で掲載しました(こちらをクリック)。

午前中に大子町・月待の滝へ。前日の大雨がこの日は幸いして、豪壮な滝が目の前に現れて一同大歓声。「日本一やさしい裏見(うらみ)の滝」と宣伝されているように、誰でもかんたんに滝壷の後ろへ入れます。
この滝の知名度アップに情熱を燃やす「もみじ苑」オーナーの大関仁さん(上左写真の右端)。大関さんから「月待の滝観音」(上右写真)「廿三夜塔」(左写真中央)の由来をお聞きした後、いにしえの二十三夜講に思いを馳せながら、同店にて本格ソバを。
月とは関係ありませんが、せっかく近くに来たので、バスで十数分の日本三名瀑の一つ・袋田の滝へ。展望台からの眺めに誰もが圧倒されつつ、月待の滝のように容易には近づけないことを惜しむ声も。
旅の最終目的地、水戸の二十三夜尊・桂岸寺(けいがんじ)へ。住職の奥様のご厚意により、ご本尊・勢至菩薩の貴重な掛軸を拝閲。境内には「水戸黄門」でおなじみ“格さん”の墓所も。
正面よりも側面や背面に見どころの多い本堂。寄進の額、月の意匠……ちなみに上右写真の月の形は、二十七夜月に近い(実際の二十三夜月はほぼ半月=下弦)

志賀 勝さま

昨日は楽しい会に参加させていただきありがとうございました。

……(中略)……


昨日の二十三夜尊、安産を願う女性達が、あえて二十三夜にこだわったのはなにか訳があるのかと考えたところ、二十三の「サン」が、お産の「サン」という音でつながっているのではないかと思いました。「言霊」というのが昔はとても重視されたそうですので。。。

それなら三日月でも十三夜でも良さそうなものですが、月の形からすると三日月は鋭すぎ、十三夜は丸すぎて圧迫感があり、お産の女性が一番安定した気持ちで拝めるのは二十三夜の形かなと。。。それで敢えて彼女達は二十三夜を祈りの対象としたのではないかと。。。夜空を眺めながら想像していました。

添付の写真は昨日撮った中の一枚です。裏見の滝から撮ったものです。時刻が夜なら、二十三夜講の人々はこの飛沫を通して二十三夜の月を見たのでしょうか。雨の日に月は見えませんが、裏見の滝からだと月が洗われているように見えたのかも知れません。命を育む禊の意味合いもあったのかと。。。

想像世界がどんどん広がっていきます。今後ともよろしくお願い致します。

藤本 ゆかり


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