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志賀 勝
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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2012年9月16日 月暦八朔)

一週間、夜明け前の空に魅せられていました。月と木星の大接近にはじまり、金星との大接近に至る期間で、西暦では9月8日の3時、4時ごろから15日にかけてでしたが、月暦では二十一夜の月からだんだん細くなっていく二十七夜の月にかけて。木星―月―金星が一直線に並び、木星側から金星に向かって月が細まりつつ夜々移動していく様子は見事でした。さらに。月がある東から東南にかけての一角には、カペラ、ポルックス、シリウス、アルデバラン、ベテルギウス、リゲルなどの一等星が集結していて、星空のいい土地で遭遇した方はさぞビックリされただろうと羨望されました。

今日は月暦八月の新月。海水面がいちばん高い時期の、秋の大潮がやってきました。満潮時、増水した隅田川は、遊歩道を水で洗っています。最大規模の台風16号が沖縄等襲っていますが、高潮被害が深刻に心配されます。


仲秋待宵月語り

(画像はクリック
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東京・日暮里でイベントを予定

さて、9月29日に「仲秋待宵(まつよい) 月語り」の催しを計画していますが(待宵とは十四夜の月のこと)、好評で、参加募集は締め切りとなりました。

この催しは〈月〉の会の方々の肝煎りで企画されていますが、ありがたいことに、「月と季節の暦」の十六周年を記念した設定にもなっています。昨年は暦十五周年の年で、記念の催しがプログラムまで決まっていましたが、震災・原発事故の影響で断念せざるを得なかった事情がありました。仕切り直しになり、本当にありがたいことです。

記念講演ということで私もプログラムに加わりますが、「竹取物語」が主題の催しなので、「月の女神がいた!」というタイトルで話そうと考えています。「竹取物語」のような説話がどうして成立することができたか、いわばその前史ですが、日本列島に月の女神が神話上実在したことを断言できる状況となり、公開の場で披露したいと考えています。

奈良への取材旅行

奈良県の廣瀬大社
そのための取材もあって奈良県北葛城郡にある廣瀬大社を訪ねました。『日本書紀』などに特筆された神社で、かつては広大な社地の中に鎮座していたものですが、歴史の風化にさらされ、何よりも神社の記録が失われてしまう中で、今では人知れぬ古社といってもいいかもしれません。南流する佐保川など、北流する飛鳥川などが大和川に合するポイントに立地していて、「主神は水の守り神」と謳っています。

祀られているその神格はワカウカノメノミコト。伊勢外宮のトヨウケヒメ、稲荷神社のウカノミタマと同神とされていて、食料神であることがよく知られています。

この神が月の女神なのです。その存在は不確かなものでしたが、近年になってミッシングリンクの輪がつながり、月=水=食料の連鎖する根源的な神話をようやく私たちの視野のもとに捉えることができるようになりました。詳しい話は別の機会に譲りますが、これまで、「発見 月の名所」や「月暦版月の名所十二選余話」の連載(目次でアクセス)で若干触れていますので、参照くだされば幸いです。ワカウカノメは月神とハッキリ断定する研究書も出てきました(保立道久『かぐや姫と王権神話』2010年)。


「うかたま」28号
メディアへの寄稿報告

「うかたま」(農文協発行)の最新号(28号)が特集「月を楽しむ」を組んでいます。志賀が加わった特集ですが、特集以外にも甲田幹夫さん(パン屋さん経営、〈月〉の会会員)がエッセー「僕の月ライフ」を載せていて読ませます。


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