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月と季節の農業

第五回 文・塚本 英智

潮汐サイクルとイチゴの栽培管理

いつも私の中には、ひとつの曲線があります。〈生命曲線〉と勝手に名付けていますが、これは一般的にはブラッドリー曲線と呼ばれるもので、月齢位相による降雨量の変化をグラフにしたものです。簡単にいえば、月齢のどの時期が雨が多いかを表したものです。

満月に向かう時と新月に向かう時で多少違うのですが、大潮の後期に大きな山があり、中潮後期から小潮、長潮頃は低く、若潮の頃に小さな山がきて、中潮から大潮前後に下がり、また大潮後期に山がくるといったサイクルです。


月齢と降水量の関係グラフ
ブラッドリーらが科学雑誌『サイエンス』に発表した
月齢と雨(降水量)との関係を示したグラフ
(『月からのシグナル』筑摩書房より)

ビニールハウスでイチゴ栽培をやっていて降雨量など無関係のように思われるかもしれませんが、本来植物の生理代謝の仕組みは自然淘汰をうけながらも環境に適応し、この光と水をいかしてできていると思われます。

ハウス栽培でもこの生理代謝の仕組みを利用し、潅水や栄養管理を行うべきだと考えています。具体的には、曲線の高い時期(雨天の頻度の高い日)は吸水を促し、低い時(晴天の頻度の高い日)に光合成を活発に行うように潅水量の調節や葉面散布(防除)のタイミングをはかります。栄養的にも特にマグネシウム、カルシウム、カリウムなどの拮抗作用のあるものは、同時期に潮汐サイクルに合わせて施肥していきます。


イチゴの場合、花芽分化の前か後か、また果房間葉数の違いで生態が大きく異なってくるので、その点を考慮に入れながら一朔望月の作業を組み立てます。増収、多収を目指すというより、生理生態を理解して、スムーズに栽培していくことを心がけています。

旧暦で行われている行事や伝承も植物の生理生態と照らし合わせると頷ける点が多いことに気付きます。

〒833−0024
福岡県筑後市中牟田450−2
塚本英智 TEL 0942−53−1547

(更新日:2013.1.30)


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