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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2014年4月5日 月暦三月六日)

チリの今回の大きな地震発生は、現地時間で月暦三月二日でした。1960年、日本にも津波被害をもたらした地震は小の月の四月二十七日、そして2010年は正月十四日。こうしてみると、チリの巨大地震は新月や満月の大潮時が関係していることが想像されます。先月の満月前、愛媛で大きな地震がありましたが、これも満月直前の二月十四日のことでした。新月・満月が地球に及ぼす力を再認識させましたが、それにしても、愛媛では伊方原発が安全かどうかを住民が心配したとの報道に、天災への怖れの上に人災への恐れが加わった現代生活の異常が思いやられます。

十六夜イベント大成功のご報告

春宵十六夜その1

地震災害は月暦の日付で覚えておくととても有益です。大きな地震は新月・満月に絡んだケースが多いのですが、地域によって個性があります。東日本大震災の発生は七日月の出た二月七日のことでした。それに続く福島原発の暴走……

それから三周の年を迎え、〈月〉の会・深谷が主催し、私たち東京の会などが協賛する催し「春宵十六夜 響けフクシマ」が開かれました。西暦では3月16日でしたが、如月二月十六夜に当たるこの日は、仏陀が涅槃に入った日とされ、それを慕った西行が亡くなった仲春満月の日でした。

当日は初めて春らしい日和を感じさせた日でしたが、月の出前の催しで、〈月〉の会とは三回目のジョイントとなるピアニスト・ウォン・ウィンツァンさんによるシンセサイザー演奏、いわき市の保育士・小野浩一郎さんによる原発被害の現状に対する告発に耳を傾けました。私は「三年後の月と再生」と題する話をしましたが、月に関わる者として、地域を逐われ、地域で月と親しめなくなった方々がいることは耐えがたいことです。共に在ることをこれからも希求していくつもりです。写真によって当日の情景をまとめてみました。どうぞご覧ください。

(各写真はクリックすると拡大します)

春宵十六夜その2
春宵十六夜その3
春宵十六夜その4
春宵十六夜その5
春宵十六夜その6
旧酒蔵を活用した深谷市「七ツ梅東蔵ホール」にて15時から開演。人気のウォン・ウィンツァンさんのシンセサイザー演奏、志賀の講演(タイトルは「三年後の“月と再生”」)、保育士・小野浩一郎さんの熱いメッセージと、盛り沢山の内容。最後は高校生からの花束贈呈に、150人近い聴衆の大歓声が

春宵十六夜その7
春宵十六夜その8
十六夜の月に見守られ「カフェ花見」にて出演者と参加者の懇親会。
左写真は謝辞を述べる、イベントを立案した〈月〉の会・深谷の秋吉さん。
(〈月〉の会・深谷のブログは、こちらをクリック

俳句をテーマに、甲午年初の
「月の学校」を開催します

スケジュール欄をご覧いただければと思いますが、満月ごろに開いている「月の学校」の4月、5月は活躍しているお二人を招いての学習・交流会を企画しています。

弥生三月の満月には、俳句結社「知音」を主宰する西村和子さんの講演。「知音」の方々は「月と季節の暦」を愛用してくださっていて、西村さんは月暦(旧暦)にお詳しく、最近も「歳時記学」第六号に「旧暦に遊ぶ」を寄稿なさっています。

暦を利用くださっている俳人は多く、そのお蔭で私は色々なご縁に恵まれていますが、飯田蛇笏・竜太の系譜を引く句誌「今(こん)」の方々もその一つ。旧聞に属する話ですが、その冬号に「冬の月」と題するエッセイを載せていただきました。春夏秋冬月にはそれぞれの楽しみ方があるものですが、例句に蕪村の有名な句「月天心 貧しき町を 通りけり」を挙げて冬の月を解説しました。この句からはだれでも冷え冷えとした冬の光景を思い浮かべるものですが、不思議なことに全集では月は秋の季語ということで秋に分類されていて、有名な句にもかかわらず季節の重要さが問われていないようなのです。秋としては間違いであることを指摘しつつ、冬の月の特異なあり方を解説したのがこの短文でした。

太陽暦が支配するようになって、むかしはだれもが知っていた月が見えなくなり、無理解、誤解がまかり通るようになりました。俳句界においても例外ではなく、西村さんの講演を機会に月と月暦復権のため斯界と切り結んでいければと願っています。(了)


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