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志賀勝から一言
(2015年3月6日 月暦正月十六日)

乙未(キノトヒツジ)の年が明け、二週間がたちました。正月行事は一週間ごと行事が連続していて、新年明けの行事(西暦では2月19日)、七種(ななくさ)行事(同2月25日)、そして昨日3月5日の小正月行事という具合でした。以下、写真を中心にしたレポートです。

新年明けの行事


新年明けの餅つき

新年明け行事は、埼玉県東松山市にある「ぎゃらりー華」が運営する「折々の会」と共催でした。年の初めは若水が欠かせません。隣町の小川町にある酒造会社・晴雲酒造内の湧き水を汲みに行きましたが、新月瞬間時刻の8時47分をめざし、その時刻に月の水を汲み出しました。「ぎゃらりー華」に運び、年頭の若水を皆さん(40名参加)でいただくことで行事を開始。餅つき、ついた餅でお雑煮をいただくなど午前を過ごし、午後は折々の会の竹間迪子さん(〈月〉の会の会員でもある)を中心に直会をお屠蘇からはじめました。

東松山市の方々の参加が欠かせない行事でしたが、調理に精出してくださった方々、有機農法の食材、見事な仕出し料理、これらどれも新年行事のありがたさを感じさせたもので、都会では営みがむずかしい行事の質を会員に思わせたことと思います。

七種(ななくさ)が揃った人日

七種の勢ぞろい


若菜摘みその1

若菜摘みその2

七種(ななくさ)を刻む
今年の五節供は伊豆高原にある〈月〉の会の施設で行おうという計画ですが、まず最初の節供は人日=七種。今年の「月と季節の暦」は植物と親しむことを焦点にしていますが、自然を破壊しつくした感のある都会で必要な植物を探すのはなかなかむずかしく、伊豆高原まで足を延ばせば何とかなるだろうとの見通しでした。大地に手を触れて植物を実際に摘むことからはじめようという計画でしたが、実際七種すべたがそろったのはおどろきでした。仏の座だけはごく少量でしたが(ぎゃらりー華の竹間さんも七種行事をやり、やはりこの草だけは採取に困難だったとのこと。

摘んだ若草をはやし言葉をバックに刻み、七種粥をいただくまでの一連の流れに半日を費やし、行事を手抜きせず営んだことに充足感があり、節目を刻む節供の意味を再確認できた一日でした。

小正月行事を楽しむ


オフィスでの小正月行事

新年最初の十五夜は本来は「動の正月」といえる火を中心とする活発な祭事のはずですが、日本では見る影もなくなり、韓国、台湾、中国などで祭事が守られています(琉球諸島では正月十六日の今日がにぎやかな祭日になります)。

例年の私たちの催しはささやかなものにすぎませんが、毎回小豆粥をいただいて月と親しんできました。雲の合間からときどき月が顔を出した今回も、20数名が集って餅花作り(コリヤナギを使用)を楽しむなど、にぎやかな月見宴会となりました。食材は、上田市で農業を営む、有機農家として著名な丹野喜三郎さんが送ってくださったエネルギーの固まりのようなナズナや小松菜の芽、ジャガイモなど、ゆでるだけで美味な野菜を使うことができました。丹野さんに感謝です。会員の東美津代さんは手作りの清酒を贈ってくれました。これ以上は考えられない食を堪能し、月が一年の幸を予祝し……、新年行事最後の祭事がこうして過ぎていきました。


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