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第十一話(月暦二月二十一日) ブッダと月

お釈迦さま(ブッダ)は過去世(かこぜ)のときに国王の子となり月光太子(がっこうたいし)と称したことがある。

日本の中世の仏教的世界観や文学・芸能において月の存在感は圧倒的なものがあるが、ブッダその人を秋の月にたとえたり(謡曲『安宅(あたか)』)、ブッダの顔を満月の尊容(尊い顔)というようにたとえたりしている(『平家物語』)。

実によく目にする表現に「真如(しんにょ)の月」というのがあった。これは絶対的真理をあらわすことばで、闇を照らす月がこのように真理そのものと等価に使われていた。秋の月が水底に沈むのは(というのは月光が水を透かすこと)、菩薩が降りてきて衆生(しゅじょう)を教化する姿をあらわしていた(謡曲『敦盛』)。

月観賞のなかでも山の端(は)からのぼってこようとする月はとくに美意識を満足させるものだったが、山の背後からのその月の出を仏像の背後にある御光に見たてたものもある(謡曲『鵺(ぬえ)』、以上はすべて『新編日本古典文学全集』小学館の『謡曲集』に収める)。

(更新日:2007.4.8)


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