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第十三話(月暦四月二十五日) 月を引きおろす

小林一茶の有名な句−名月をとってくれろと泣く子かな。月をとる魔術が本当にあるのを知っていたらこの子はきっと泣き止んだであろう! というのは、古代ローマ時代、月を引き寄せるという魔法がはやっていたようなのだ。

ウェリギリウスの詩「牧歌」(『牧歌・農耕詩』河津千代訳、未来社)に、「呪文は天から月を引き寄せることさえできる」という句があり、テッサリアの呪文にも「お月様を地上に引き降ろす」というのがあった(ルキアノス『本当の話』ちくま文庫)。この魔法は中世の「魔女狩り」にまで反響している。「魔女」は月を引き寄せる者だった。中国にも、仲秋の夜に縄梯子を伝って月を引きおろし、自分の袂に入れた唐代の道術士・周生の話がある。このため折角の名月も闇に隠れたとか。

月に行くのではなく、月を取っちゃうというところがとても興味深い。きっとなにか由来があるにちがいない。しかし今はまだ、人間のある力を示しているかもしれぬ未解明の謎。

(更新日:2007.6.10)


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