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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2005年11月6日)

月暦2006年版 販売開始

暦制作者にとっては記念すべき十周年の節目となる「月と季節の暦」2006年版。

このHPの更新が終わる翌日からいよいよ船出します。予約の一斉発送は五千部、たくさんの方々のご期待を背中にひしと感じながらの猛烈な梱包作業となります(体力の衰えはいやはや何ともいかんともできませんね)。

先日、大阪の方から注文をいただきました。大阪でもの仲秋の観月祭に参加された方です。「大阪の生き生き地球館で開催された「観月祭」に参加して知りました。あの日の月は、とてもきれいな月で家族一同感動しました。それ以来、時々月をながめています。」という一文が添えられていました。

一年ぶりとなる暦利用者との会話も、暦売り出し期間の楽しみです。昨日は糸魚川の方からお電話いただきました。

以前糸魚川で講演したことがあり、そのとき話を聞かれた方で、どうもわたしは月暦三月十九日の月の入りについて話をしたらしいのですが(西に日本海が広がる糸魚川ですから、月の入りはさぞ見事でしょう、といったような話をした記憶はありましたが)、海に落ちるその日の月の入りを実際に見た感動をその方からうかがいました。短歌をよくお作りだとのことです。

<月>の会・長崎 吉川康子さんのお便り
(暦制作室にて一部を抜粋)
昨夜月の美術館で例会をひらきました。長崎くんちの中日(なかび)ということで、記録的少人数の例会でした。
しかし「月の高野山」のビデオを見ることができ、穂盛さんの熱い熱い思いに感電(?)しました。
昨年申し込みをしながら、台風に邪魔され伺えなかった高野山です。最初はくやしい!と思いながら見ていましたが、「阿字観瞑想法」は、やはり一緒にやりだしておりました。
最後には素晴らしい演奏のピアノ曲に癒され最高の気分でした。ビデオ作成、本当にありがとうございます。

(以下、二通目)

「長崎くんち」が果てて、さびしさの昨日今日です。
日本一、いや世界一の祭りに毎年出会える幸せを噛み締めています。月の会・長崎は今年「龍踊り」を奉納した町に隣接しています。
8日の夜は「庭先回り」といって、「花」をいただいたお礼に一行が回ります。行きは「オランダ船」、帰りは「龍踊り」に行きあわせ、興奮の渦にしばし身をゆだねました。
いつの日か、志賀先生も「長崎くんち」にいらしてください。きっと虜になりますよ。
ではお元気で。ご自愛ください。

十年の仕事で築かれたネットワークは感動そのもので、これからは「月のネットワーク」とでも呼んでいこうと思います。今年熊本で面識を得たお医者さんがこのことばを発してくれました。

略して「月ネット」。中国語にすれば「月網」となるでしょうが、この発音は満月を意味する月望とおなじユエワン。シンクロがどんどん膨らむな、とひとり悦に入ります。他方、英語にすると「ルナティックネット」でしょうが、これですと「月狂い人のネット」の意味にもなりますね(笑)。

ちょっとしたことかもしれませんが、「月を見る」という行為には人に大きな変化をもたらす事件性を秘めた何かがあるようです。糸魚川の方が得た感動は生の充実感そのものだと思いますが、月を通して、人生や社会や世界への思いへ、地球や宇宙への思いへと大風呂敷が膨らんでいく、そういう通路が開けていくかもしれません。

2006年版月暦の観どころ

見本です

さて、2006年版の暦は、さながら月ネットの力量の結実となりました。

劈頭を歌人の馬場あき子さんのエッセーが飾っていますが、馬場さんは一昔前仕事上お付き合いのあった方で、黒川能の良き紹介者としても知られています。今年の2月1日、2日、このお能の役者でもある蛸井さんのお計らいでわたしは黒川能を堪能する機会を得ましたが、黒川能にいつもいらっしゃっているという馬場さんのお顔を拝見しながら声をかけずじまいでした。黒川能を鑑賞したわずか一ヶ月後、講演に呼ばれて黒川の方々との関係が深まり、月(暦)と黒川能、農業というテーマが大きくクローズアップしていきました。

お書きになっているものに常々敬意を感じていたわたしは、馬場さんに月エッセーをお願いすることにし、月と能と農というテーマで歴史家の桜井哲夫さんに書いていただくことにも発展しました。黒川能と月暦が結んだ実りといえる暦編集作業となり、わたしとしては伝統芸能に月暦がよみがえる期待を込めての編集となりました。

静岡の山間部で月の暦でいとなまれている西浦田楽も、長年暦で関係している大嶽さんのご配慮で取材することができ、暦に生かしました。この取材過程で、「月」という名の村を発見、その後また「みそか蕎麦」を運営している名古屋の喜八さんを通して愛知県側にも「月」村があるということを知り、この愛知県の月では今月有名な花祭りの幕が切って落とされるそうです。その花祭り参観をわたしも誘われましたが、この時季はどうしても外出できず、とても残念です。

わたしたちにはとりわけ親しみやすい月という名前の村、そしてその村での花祭りは、おなじく長い歳月を歩んでいる黒川能に対する思いへといざなってくれます。宮崎の高千穂神楽ともいささかの縁がありますが、日本列島の古層を彩り、現在もなお活発に命脈を保っているこれらの民俗的、伝統的な芸能が、むかしのように月と親しい「月の文化」の導きとなるよう心から願うものです。

プロによる月の写真、天文学者のエッセーも

屋久島との出会いも暦に反映することができました。島の川崎さんのお引き合わせで写真家の山下大明さんと知り合うことができ、山下さんの幻想的な屋久杉と月の写真とともにエッセーを掲載しています。

特筆すべきこととして、来年、800年に一度という月のめずらしい現象が見られることをイギリスの天文学者ビアードさんが書いています。月に関する来年のトピックです。ビアードさんは、2009年の奄美での皆既日食に来られるそうで、〈月〉の会も皆既日食という黒い月と黒い太陽の婚姻を楽しみに是非奄美行に取り組みたいものです。

2006年版「月と季節の暦」に込めた思いを綴ってきましたが、記念暦らしく、このほかにも様々な企画を入れています。表紙を飾る「日月 二見」の写真は、「月と太陽の暦」をトレードマークにする暦の十周年にふさわしいものになりました。  多くの方々に迎えられる暦となるよう願ってやみません。どうぞこちらのページを参照のうえご注文ください。

月暦手帳も制作しました。
ただし出来上がりは11月半ば以降

暦制作室が制作するにふさわしいと自負する本格的な手帳が完成しました。

見本その1 見本その2 見本その3

月暦・西暦の対照付きの日々のスペースをたっぷりと取り、メモ、日誌などの記入に便利なようになっています。月暦的にご利用いただけるよう、月暦的年間スケジュール表やヘルスチェックシート(特に女性に役立つと思いますが、本当は男性にも必要なものです)などを付録に収めました。二十四節気や七十二候の解説なども付録に収めていますから、農業関係者をはじめ、俳句、お茶、お花などに関係する方々にも特にハンディで利便性ある手帳になっています。暦は特集欄があって書籍のように観て読む体裁の壁掛け用ですが、手帳は毎日持ち歩いて月暦的なすべての情報を得ることができる、いわば「ハンディ月暦」、毎日の覚え書きにどうぞご利用ください。総ページ数は前回の二倍半、170ページを越えています。用紙は空色を使いました。

千部だけの小部数印刷で、制作費は目の玉が飛び出るくらい高くなって茫然自失(笑)、用紙も本当は季節ごと四色の色紙を選びたかったのですが、とてもとても果たせませんでした。しかし、日本で唯一のすばらしい月暦手帳、だんだんと支持者が増えていくことと信じられます。わたしもヴォランティアでお手伝いする所存、皆様の応援を切に願います。(手帳には今回も六曜が入っています。制作に追われ、深く考えもせず成り行きで入れている形です。六曜の問題点についてこのHPで解説して一言しようとしましたが、今回は時間切れで果たせません。後日を期します)

11月半ばまでは「購入予約」の形となりますが、カレンダーと合わせて、どうぞこちらのページを参照のうえご注文ください。

何年かぶりの新著を刊行します

久しぶりに本を出します。仮題は『月暦のある暮らし』で、新曜社刊、予価は1,900円。月暦のキーワードを取り上げた暦の解説から、様々な月の楽しみ方、正月や伝統的行事と月、そして月の文化など、現在関心の非常に高いテーマについてまとめたもの、三年間力を込めて取り組んできた月の催しの写真もたくさん収めるつもりです。11月中の刊行を目指していましたが、現在初稿を見終わったところで遅れ気味です。

前著『人は月に生かされている』は現在品切れ状態、わたしのところにも大分注文がありましたが、要望にお答えできず困っていました。

読書の時間も限られ、勉強もままならない数年間が続き、執筆もいくつかの連載とこのHP用のものぐらいで、もはや「物書き失格」かなと自嘲していましたが、ようやく一矢を報いることができます。

次回のホームページでは正式書名など報告できると思いますので、どうぞご注目ください。


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