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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2007年10月6日)

待望の月暦と手帳、いよいよ完成へ。
2008年版は11月1日に発売です

2008年版月暦の表紙

今はまだ仲秋の名月を含む葉月八月で、秋の長夜の長月九月は10月11日から。月暦の一年の先はまだまだ長く、2008年2月6日まで続きます。新しい子年(ねどし)の年が始まるのは2月7日から。

そういう先のことで気が早く恐縮ですが、2008年版「月と季節の暦」と「月暦手帳」の制作が終わり印刷に入っていくところです。例年、暦の仕上がりの目標をもうひとつの名月である九月の十三夜に置いていて、今年の十三夜は10月23日。この日に見本が出来上がってきます(十三夜には恒例の「深大寺十三夜」が開かれます。スケジュール欄をご覧ください)。

一年三五四日からなる来年の月暦は、2008年2月7日から2009年1月25日までが対象で、面白いことに来年一年の暦の中には立春が含まれていません。

特集は月岡芳年「月百姿」とコラム「月時計」

新しい暦の特集は、読み物として「月時計――月を知る生き物たち」、そして絵特集として月岡芳年の「月百姿」から十二点の浮世絵を掲載しています。

「月時計」は、いわゆる生物時計=体内時計に関わる特集で、私たち人間を含む生物がいかに月に影響されているかについて、現在まで明らかになった重要な研究成果を網羅して編集しました。制作者としては時間をかけた「労作」のつもりで、感慨ある特集です。

絵特集で取り上げた月岡芳年は月の浮世絵師。百点に及ぶ彼の幻の連作「月百姿」の全体が発掘され、そのうちの十二点を暦という印刷物で公表できることになりました。大変幸いなことです。

【2008年版月暦・予約注文の方法】

10月31日(必着)までに2008年版月暦を予約注文された方は、送料などを暦制作室の負担(送料等サービス)で発送いたします。冊数にもよりますが、11月以降の正式注文とくらべて約200円分おトクです。上記記事をご参考のうえ、ぜひこの機会に予約注文なさってください。

月と季節の暦2008年版 定価2,100円(税込)

「月と季節の暦2008年版予約注文」と明記のうえ、ファクス、Eメールのいずれかで

●郵便番号
●ご住所
●電話番号
●お名前
●ご注文部数
を下記「月と太陽の暦制作室」にお知らせください。
ファクス 03−5246−5589

Eメール tsuki@globe.ocn.ne.jp


各種お問い合わせはこちらまで
「2008年版月暦手帳(下記記事参照)」
 ご予約の方も、同様にお手続きください。

2008年には文字どおりの「お盆休み」が

暦を制作していて、いくつか気付いたことがあります。仲秋の名月は9月14日の日曜日で、十三夜は10月11日の土曜日。観月にはいい日取りです。

月暦と西暦の違いを考えさせる面白いケースも来年の暦にはあります。それは、お盆。現在日本で普通に行われているお盆は西暦8月15日前後ですが、これは伝統的なお盆であった月暦七月十五日前後の「月遅れ」として定着してきたものであることはご存知のことと思います。

実は来年の月暦七月十五日は、まさに「月遅れ」の西暦8月15日に当たるのです。だから西暦8月15日には十五夜の円い月が出ることになります。盆踊りは、昔同様、十五夜お月様の下で営まれることになるわけです。偶然のこの一致を捉え、来年には是非月暦で営まれてきた日本のお盆について考える機会としたいものです。

お盆は七月十六日=8月16日までですが、正確な満月の日付けはその翌日のことになります。今年は珍しい月出帯蝕が見られましたが、来年のこの満月には月出帯蝕とは逆の現象が見られます。それは、月入帯蝕。早朝のこと。月蝕状態で西に落ちていく月と、東から昇る太陽が実見出来る最高のチャンスになるでしょう。月は東に日は西に、の逆の、東に太陽、月西に、のシーンで、お盆から月入帯蝕にかけては来年の楽しみのひとつです。どうぞご記憶ください。

☆読んで楽しい
 「月暦手帳 2008年版」も
 同時発売
2008年版月暦手帳メイン
年間予定表の例


月のお話を掲載して、リニューアルしました。

●システム手帳用リフィル/ミニサイズ
(縦12.6mm・横8mm)・6穴
定価1,050円(税込、送料別)
●特製手帳カバー(別売、定価7,000円=税込)もございます。

  1. 年間予定表(右下図)は、日曜日から始まる一週間横並びの西暦表記(見開き一ヶ月)に変わりました。2008年1月1日から2009年1月まで使えます。
  2. 月暦正月一日(2008年2月7日)からの手帳本体は、1ページに4日分の横書きに改めました。下部のスペースには「月マンダラ」(志賀勝著)より構成した、さまざまな月のお話を掲載しました。
  3. ヘルスチェック表はご自分専用の絵文字で記入したり、マス目を色分けするなど、さまざまな使い方ができます。
「月と季節の暦」のハンディタイプとして、暮らしやお仕事にご活用ください!

※「2008年版月暦手帳」も「月暦」と同様に予約注文が可能です。送料等が無料となります。予約ご希望の方は、どうぞ上記【予約注文の方法】を参照のうえ、月暦と合わせて(手帳のみも可)ご発注ください。


〈月〉の会の近況など

〈月〉の会・深谷 秋吉裕子さんの活動報告
深谷の仲秋の名月は、清水さんと私、そして子供たち総勢8人で行いました。夕方6時、ムーンストーンに集合。早速、持ち寄りのススキや、今日は参加できないメンバーからの差し入れで、簡単な設えをしました。滅多にない夜の集まりにはしゃぐ子供たちを見ていると、私たち大人は一日の疲れも忘れるような、和やかな気持ちになりました。きっと何世代も前の私たちの先代たちも、こういう行事の日は、いつもとちょっと違う、わくわくするような気持ちで楽しんだのではないかと感じました。

まん丸ではないけれど、本当に見事な月で、私たちは2階のベランダにござを敷いて、まずはカレーライスのお月見夕食。終わると、子供が持ってきた小さな望遠鏡をのぞいて「見える見える」と喜んだり、宿題の「月の観察」で、せっせと月の様子を記録したり、お月見団子をいただきながら楽しみました。また、保育園の頃のリズム遊びの歌「影ふみ」を清水さんが思い出してみんなで口ずさみ、その美しい、どこかなつかしいメロディーに、あらためて感動しました。月がまだ南中にも上がらない9時過ぎに解散。小さな集まりでしたが、特別な、楽しい夜でした。

ほかにも月暦八月十三日(9月23日、秋分の日)に愛知県西尾市で「月酔 in 西尾」の催しが開かれ、「月を楽しむ会(西尾)」が作られました。代表は佐久間桂祥さん(曹洞宗妙喜寺住職、全国ホタル研究会事務局長もなさっています)。この報告やその他の報告については次回更新に回し、今回の更新は月暦と月暦手帳の情報だけに止めます。手数料を当室持ちとする暦・手帳の予約期間は10月末です。どうぞお早めにご注文ください。

ひとつだけ、最近読んだ『ゲド戦記』の著者ル・グウィンの新刊『ヴォイス』(河出書房新社、8月刊)において、忘れがたい一文があったので紹介しておきたいと思います。〈オルド人〉という他民族に支配されている〈アンサル〉という土地の物語ですが、支配者であるオルド人は、唯一神である太陽神=アッスを信奉する民族という設定になっています。太陽神を信奉するそのオルド人は、「月を蔑み、奴隷とか魔女とか呼ぶ。大地は流刑地だ。汚れた場所、魔がはびこる不浄な場所だ。アッスの太陽が照射する光と熱を除いては、暗く冷たい。……そこは、大地の穢れが集まる場所。太陽が光を照射するのとは対照的に、闇を地中にすいこむ場所。光を食べる『反太陽』だ。黒くて、湿っていて、冷たく、おぞましい。太陽が存在であるのに対し、これは非存在――。」(谷垣暁美訳)というような論理をもつ支配民族として描かれています。

太陽信仰にはこのような怖さが実際あり、ル・グウィンの描いた架空民族の論理は、長い歴史的射程を持つ裏づけのある現実です。『夜の言葉』というエッセイ集もあるル・グウィンですが、昼に対する夜を復権することで昼的文明の横行に警鐘を鳴らしています。人類学者であった彼女のお父さんの重要な著書『イシ』(岩波書店)のことがしきりと思い出されたのでした(了)。

(10月26日補記――ル・グウィンのお父さんではなく、お母さんだったようです。記憶はあいまいなものだと反省しています。暦をお使いの青木さんに指摘していただきました。記して感謝します)


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