トップへ
月と季節の暦とは
<月>の会
志賀 勝
カレンダー 月暦手帳
イベントスケジュール
月と季節の暦
月と季節の農業

第三回 文・蛸井 弘
(月の農楽部 世話人)


「月読生活(Tsukiyomi Life)」の
取り組みを始めました。

山形県の中央部に『月山』という1,981mの山があります。この山のことについては、2011版の「月と季節の暦」に掲載されています。

「月読生活」の説明その1
西方浄土という言葉の西方とは、太陽の運行に人間の生死に重ね合わせて考えると、太陽の沈む「西」のことであるとともに「死」を象徴する方向です。

つまり、東日本の皆さんから見て西側に位置している月山及び出羽三山は、死を象徴する山、死者の魂が帰る所として、多くの信仰を集めています。(月山の祭神は「月讀命(つくよみのみこと)」で、太陽を主る天照大神(天照大御神・あまてらす)の弟神にあたり、月を神格化した夜を統べる神であると云われています。)

ところが、面白いことに私が住む庄内地方のとりわけ鶴岡市というところは、その月山よりも西側に位置し、時期によっては死者の山である月山から太陽も月も昇る、死と再生の同居する地域といえることもできます。(出羽三山や庄内地方のあちらこちらでパワースポットブームが起こっています。)

こうしたご縁もあってか、地元に伝わる国指定重要無形民俗文化財「黒川能」にご招待したお礼として、平成17年に、「月と季節の暦」制作室の志賀さんを講師にお迎えし、「月と農業について」という講演会を開催することができました。その時の受講生には、イタリアンレストラン「アル・ケッチャーノ」のオーナーシェフ奥田政行氏や在来作物研究の第一人者である山形大学農学部の江頭宏昌氏、「農林漁家民宿おかあさん100選」に選ばれた「農家民宿 知憩軒(ちけいけん)」長南光さんもいました。

お話の内容は、人の体は太陽のリズムに支配される面(主に肉体的な)と月のリズムに支配される面(主に精神的な)があること、種をまくにも口伝として旧暦で15日以降に播くと発芽が良くなると言われていることでした。

これに触発されて、平成19年に「満月どり」「新月どり」、平成24年には「月読生活(Tsukiyomi Life)」の商標登録を申請しました。


「月読生活」の説明その2
(画像をクリックしてPDFを参照してください)

『月と農業―中南米農民の有機農法と暮らしの技術』ハイロ・レストレポ・リベラ (著)の中には、農作物は月の影響を受けやすく、とくに水分は満月の時には植物の上の方に、新月の時には根の方に移動すると記載されています。例えば満月の時に収穫された果物は、貯蔵には向かないが、瑞々しく栄養価も高く、新月に収穫された果物は含水量が低いことからドライフルーツに向いているなどです。

また、根菜類は新月の時に栄養価が高くなるので、秋から冬にかけてお鍋をする時には、体を温める効果が高いということができます。山形県の庄内地方は在来野菜の宝庫といわれていますが、その中に「宝谷かぶ」があります。青首で白いカブを、焼き畑の急斜面で作っていますが、収穫は雪や霜が降ることが予想される旧暦霜月朔日に近い土日に収穫することにしています。この方が甘みと香りが豊かで、保存性も高いようです。

しかし、それらを定量的に証明する動きはありませんし、個人でそれを行うためには多大な費用と時間がかかってしまします。

そこで、月読生活の第一段階は、食から始める月のリズム生活ということにしています。(PDFを参照してください。)上弦の月から満月の後の大潮の期間中を「満月どり」、下弦の月から新月の後の大潮の期間までを「新月どり」として旬の農産物に表示し、それを手に取ってくれた方々が、「今度の〇月〇日は満月(新月)なんだ」と意識することで、心が月のリズムを取り入れてくれる。こうした取り組みをスタートしました。

これまでの食材に求められてきたのは、滋味(栄養)、旨味(味)でしたが、これから求められるのは、心の栄養となるものではないでしょうか。 オーガニックなども安全安心や地球環境に配慮していることが伝わりますが、もっと本質的なところで心の琴線に触れるものとして、満月どりや新月どりもそのカテゴリーに含まれると思っています。

第二段階としては、「月読生活」を取り入れた外食産業の取り組みや、イベントの開催です。「満月どりビアガーデン」や「新月どりフェア」、もしかしたら「満月どり婚活」などもあるかもしれません。特に満月の夜には電気を消し、天然物由来(蜜蝋や植物油脂)の蝋燭や行燈などで食事やお酒を飲むことができれば、節電にもつながります。

また、観光面でも食事だけでなく、月の光が映る露天風呂で、古代から満月の夜に摘むと効果が高いというハーブの香りを漂わせた、リラックス効果が高い月光入浴なども旅館さんと一緒に取り組んでみたいと思います。

第三段階としては、「満月の時は誰かを幸せにしたい。新月の時には自分を幸せにしたい。」をキャッチコピーとして、コミュニケーションやコスメなどに取り組み、日々の生活に「月読生活」を根ざさせ、文化としての定着を図っていければと思います。特にヨーガを行っている女性たちは、月の効果を実際に感じとり、すでに実践している方ももいらっしゃいます。

このように夢は大きいのですが、まだまだ卵としてこの世に生まれたばかりで孵化もしていない状況です。 私と数人の仲間も地元で頑張っていきますが、「月と季節の暦」や各地の〈月〉の会の皆様からも応援をいただき、卒(口へんに卒)啄同時(そつたくどうじ:雛が卵の内から殻を割ると同時に親鳥も外側から殻をたたくこと)で殻を破れればと思いますのでよろしくお願いいたします。

平成24年9月時点で「満月どり」「新月どり」の食材を購入できるところを紹介します。

◎枝豆
〇木村九郎右衛門
〒997-0855 山形県鶴岡市大字矢馳甲17
電話&FAX 0235-22-4824
http://www.yamagatada.com/2/
〇山菜卸問屋 遠藤商店
〒997-0015 山形県鶴岡市末広町20-20
http://www.sansaiya.com/
〇産直あぐり
〒997-0332 山形県鶴岡市西荒屋字杉下106-3
TEL:0235-57-3300 FAX:0235-57-4243
http://www.santyokuagri.jp/

◎庄内メロン
〇菅原和行
〒997-0346 山形県鶴岡市上山添神明前145
電話&FAX 0235-57-2311

◎果物(ぶどう・和なし、洋なし、りんご、もも)
〇産直あぐり
〒997-0332 山形県鶴岡市西荒屋字杉下106-3
TEL:0235-57-3300 FAX:0235-57-4243
http://www.santyokuagri.jp/

◎お米
〇産直あぐり
〒997-0332 山形県鶴岡市西荒屋字杉下106-3
TEL:0235-57-3300 FAX:0235-57-4243
http://www.santyokuagri.jp/
〇木村九郎右衛門
〒997-0855 山形県鶴岡市大字矢馳甲17
電話&FAX 0235-22-4824
http://www.yamagatada.com/2/
〇菅原和行
〒997-0346 山形県鶴岡市上山添神明前145
電話&FAX 0235-57-2311
参考 http://www.ruralnet.or.jp/gn/201206/kant.htm
〇黒川まるいし農場
〒997-0311 山形県鶴岡市黒川字漆原136
連絡先 0235-78-7260 http://www.k-maruishi-farm.com/

◎産直
12月までの毎月最終木曜日に新宿区神楽坂毘沙門天前において山形県鶴岡市が主催する「くしびき産直」が開催されています。

(更新日:2012.9.20)


≪ 「月と農業」第二回へ 「月と農業」第四回へ ≫
志賀 勝のトップへ
Copyright(C)2012 月と太陽の暦制作室 志賀 勝