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第九話(月暦十二月二十三日) 月光浴

石川賢治さんの写真集『月光浴』(小学館)が刊行されたのは1990年。速さ、高さ、大きさ、明るさといった人びとをつかれさせるばかりの太陽的な状況に対して、おだやかな月の価値を発見させた。満月の光だけで撮られ、月光のブルーをきわだたせた夜の自然、夜の生き物、夜の地球のはじめて見る光景は多くの人びとに歓迎され、月復活の一里塚となった。

雪は太陽光には反発するが月光にはやさしいとか、熱帯の植物は昼ぐったりだが月の夜は花や葉が芽吹いて元気だとか、写真に付した一言が好ましい。月光浴というのはユニークなことばのようだが、月光浴(つきあ)みということばを使った大正期の画家田中恭吉の短歌が田中清光著『月映(つくはえ)の画家たち』(筑摩書房)にある。影や夢の世界を望んだ幻想作家の中井英夫に『月蝕領宣言』(1978年)があるが、この作品には穏やかならざる月光浴が綴られている。

(更新日:2007.2.10)


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