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志賀勝から一言(2005年1月10日)
(次回更新は2月中旬の予定)

新年は2月9日です

西暦忘年会と称して毎年12月末に食事会を開きますが、今回話の収穫がふたつありました。そのひとつ――大阪からいらした方が、「日照権」ならぬ「月照権」があるということを教えてくれました。月見を意識して庭が作られていることがあるわけですが、マンション建設のために月が見えなくなるということで裁判に訴えた人がいて、「月照権」を理由として勝訴したというのです。はじめて聞く話でした。

もうひとつ――写真家の柳瀬桐人さんは10月の満月にカンボジアのアンコールワットに写真撮影に行き、月の出の写真を撮ろうと待ち構えていました。どうやら月の出の時間をちょっと間違えたようで、月はなかなか出てくれません。近くにいたヨーロッパからの観光客にももうすぐ月が出てくるからと教えてあげたので、今か今かとあせったとのこと。

ようやくのことで月が出てきたときは、柳瀬さん、ほっとしたことでしょう。ヨーロッパ人もアンコールワットに上がる幻想的な月を教えてもらって大もうけしました。柳瀬さんは、アンコールワットに上がる月、その月が水に七色で映える見事な写真をものにしてきました。

写真1
写真2
(撮影:柳瀬桐人、2点とも)

さて、西暦新年が明けましたが、<月>の会関係者はまだ新年でないと感じている人がけっこういることでしょう。私も「年末年始」は仕事に明け暮れていて、となりにあるほど近い浅草寺の喧騒をやり過ごしながら、忙しい毎日です。それに、霜月十五夜(12月26日)に発生したスマトラ地震と津波のショックで、わたし同様多くの人が新年どころではないのではないでしょうか。

今日1月10日は新月、月暦の師走がはじまる日です。そして月暦新年は2月9日に明けます。

最小の満月と最大の満月

イギリスの暦利用者の物理学者・Beard(ビアード)さんから貴重なレポートを頂戴しました。師走の満月(西暦1月25日)の月が年間もっとも小さい月等々を教えてくださっていて、とても有益です。このレポートをご覧になりながら、2005年の大きい月、小さい月を実際に見比べてください。

2005年 最も大きい満月*最も小さい満月

月と地球の距離の最短、最長は必ずしも満月のときに起こるわけではありません。しかし、満月時の月と地球の距離を計算すれば、その満月の大きさはおのずから測定されるわけです。

2005年では、最も小さな満月は1月25日に観られます。その時地球との距離は405,632kmとなり、月の直径は0.4896度になります。最大の満月は7月21日で、地球との距離はわずか357,288km、直径0.5489度になります。そして、これは1月の満月より12%も大きいのです。

2005年1月2日
ダレン ビアード (英国)
(和訳) 和子 ビアード

赤阪さんの月暦活用術

<月>の会・大阪の赤阪さんは、今回の暦を有効に利用してくださいました。赤阪さんとメールのやり取りがありましたが、とても心をなごませてくれるものですので、掲載を許していただきました。どうぞご覧ください。

先日まで、沖縄県の与那国島に行っておりました。
与那国島も大変面白い島で、時間、時空を超える場所のエネルギーが
ものすごく強いように思いました。
まるで、天空の城ラピュタの世界・・・とでも申しましょうか・・・(笑)!
日本はまだまだおもしろいところですね。

今年の月暦、皆さんに配らせていただいております。
どの方にも喜ばれ、こちらこそ素敵な暦をありがとうございます。

少しずつですが、私の日常にも、月の暦を意識するようになってまいりました。
すると、いろんな出来事と月との関係が見えてきて、発見多き一年となりました。
沖縄の祭事行事を赤阪が取材をしてまわっているおかげで、沖縄によく通いました。
おばぁから聞かせていただく話には、教えられることが沢山あります。

今年(引用者註:2004年のこと)の始まりは、
沖縄県にある久高島の月暦で行われているお正月に参加させていただいておりました。
昔の祭事行事には、天(月・星・太陽)との繋がりが深く、今の暦で行われても、
何も意味がなさない・・・ことがハッキリと感じさせられます。

月暦、日常にも生かさない手はナイ!!
そんな感じで思っております☆(笑)

赤阪さんは久高島のお正月(もちろん月暦のです)について触れていて、ご主人のお仕事の関係から大分沖縄の月のリズムになじんで心を洗われているようです。

子どもと月

はじめて暦をお買い上げの埼玉県・川越市のIさんから、「孫(小ニ男)が月・星に夢中で、これにかかわる本を毎日読んでいるようです。孫のために一部お願いしたのです」というお便りをいただきました。

幼稚園や小学校で暦を使っている利用者の報告では、子どもがじつによく暦を見ているという話をよく聞きます。暦を見て、実際の月を見に外に出た子どもの話などを聞くと、制作者として冥利に尽きる思いです。

今回の暦販売の過程で出会った子どもと月の話をほかにも紹介しましょう。

千葉県柏市のKさんから

月の事なら・・・と思い、メールしました。
実は私の2歳になる孫がお月様が大好きで月が出ていると
飽きずにずっと眺めているのです。
で クリスマスに絵本をあげようと考えているのですが
字は読めないので 出来れば絵だけの月の絵本なんて
ご存知無いでしょうか。
教えていただければ幸いです。

ここは<月>の会・長崎のヤマサキさんの出番と思って問い合わせしました。ヤマサキさんの回答では、

エリック・カール著『パパ、お月さまとって!』(偕成社)
マーガレット・ワイズ・ブラウン著
『おやすみなさい、おつきさま』(評論社)
がおすすめとのことでした。

Kさんとヤマサキさんとのやり取りがあった直後に、長野県上田市のMさんからたくさんの暦のご注文をいただき、そのときの便りに、「今月の『月と季節の暦』に月の絵画が出ていますが、毎日、一歳三ヶ月の息子が指差して、『うーうー』と言って喜んでいます。素敵な絵ですね」とありました。暦の神無月にヤマサキさんの絵を載せているのですが、その絵のことです。Mさんからも、月の絵本を紹介していただきました。

うちの子供は、最近、お星様も覚えました。
お月様が見えない晩は、お星様を指差しています。

子供は足元ばかりを見ているものだと思っていましたが、
お月様を覚えてからは、空もよく見るようになった気がします。
昼間は、昼に見えるお月様の他に、雲や鳥も指差しています。

月の絵本のお勧めですが、もう知っているかもしれませんが、

「おつきさま こんばんは」 林明子作 です。
かわいい絵なので、親御さんも気に入るのではないかと思います。
簡単なストーリー性もあるので、2歳のお子さんなら楽しめると思います。
うちの息子は、お月さんの絵に、チューしています。。

熱海と二見

熱海と二見といえば、韻を踏んでいて何やら親しみを感じるふたつの土地ですが、この東西ふたつの町で、今年期せずして月の催しが開かれることになりました。

熱海での11月27日に行なわれた満月祭については前回報告しましたが、3月26日の満月の日に第二回満月祭が開かれることになりました。詳細は次回更新でお伝えしますが、「子どもと月」のテーマを温めているわたしとしては、熱海の海岸線に子どもたちが「月待ち」のために集まる図を夢想しています。

以前新潟の山から昇る月を待っていたことがありました。山の端が明るくなり、どんどん明るさを増していくのですが、月はなかなかでてきません。じらされて、じらされて、やっと月影を捉えたときの感無量! これが月待ちの醍醐味なのだな、と感動したことが忘れられません。

11月27日の満月祭でも、月を最初に捉えることは意外にむずかしいという体験をしました。ならば子どもたちに月待ちの体験をさせて、最初に月を見つけた子は一等賞、という企画も楽しいではありませんか。賞品は、古代オリンピックの桂冠の精神とおなじく、想い出に染みこむ月の光! そんな企画をいつか是非実現させたいものです。

つぎに二見ですが、この二見は太陽の二見としてよく知られているスポットです。西暦新年のご来光を拝む場所として著名ですし、夏至の日には夫婦岩のあいだから昇る太陽を拝む行事が毎年行なわれています。夏至の行事を中心になって企画している方に、明治初期の建物・賓日館の保存・運営に携わっている小西さんがいらっしゃいます。小西さんは、太陽ばかりでなく「月の二見」の構想も温めて来られました。

小西さんとわたしは昨年来の付き合いですが、今年の夏至(6月21日)は同時に十五夜でもある特別な日。世界の神話によく登場するように、わたしたちにとって天上の両目でもあるふたつの天体が満つる特別なこの日に、太陽・月を愛でる催しを実現しよう、と思いが一致しました。太陽・月のふたつを愛でる二見。二見の観光史に新たな一ページを記す催しになるかもしれません。詳報をどうぞお待ちください。

この二見の催しの呼びかけの目的もあって、四日市と名古屋に出向き、月暦について講演する機会を作りました。スケジュールの欄をどうぞご覧ください。


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