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月と季節の暦とは
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志賀 勝
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月と季節の暦
志賀勝から一言
(2006年7月9日)

堺で講演

7月1日、堺市に行ってきました。この町の三国ヶ丘にある「食亭 ひらひら」板前さんの細谷さんが幹事役で、食事会を兼ねて月と暦の話を聞いていただきました。

日頃細谷さんのお店に集う刃物業の方(堺は刃物生産で高名な土地です)、お医者さんや助産婦さん、大阪市大で生物学を教えておられる方、わたしも堺市で香道の先生をなさっている方や著書を通じて知り合った奈良の方、神戸などの知り合いに声をかけて総勢20数人が「カナディアンクラブハウス」というフレンチレストランに集いました。いつも思うことですが、同じ地域に住み、さまざまな仕事をされている方々が月の会には集まっていただけると、閉じられた時代における開かれた月の出会いに感動しました。

堺市にて 堺市三国ヶ丘・フレンチレストランでの講演・夕食会風景。食事が進むと、お店の方がアフリカ太鼓で和してくれたのも楽しいひと時でした。
   
経済的な苦境や文化的な動きの弱い堺市の現状を皆さん嘆いておられましたが、海に開け、幅広い大通りや市電ののんびり走る町の有り様はわたしにとても魅力的でした。千利休の生家跡を訪ねてみましたが、彼が始祖となった茶道は花と月を背景として生まれた「月の文化」の重要な芸道、堺がまた月と豊かな関係を結んでくれればと望まれました。その日は六日の夕月が出る日でしたが、雨模様の空もすっかり晴れ渡り、すっくと立ち上がった六日の月が南の低い空に屹立していました。

「ひらひら」の細谷さんとははじめての面識でしたが、電話などの応対で感じていた人柄の良さはお会いしていよいよ確かめられました。その人柄に惹かれて、お店に人が集まるようです。人柄だけでなく、板前さんとしての技量も冴えていました。食材にこだわった料理は心こもるものでした。大阪や奈良、和歌山の方々、是非どうぞ三国ヶ丘の「食亭 ひらひら」を訪ねてください(お店の電話は072-257-7999)。

会に出席なさったお医者さん・助産婦さんご夫妻から印象記を頂戴しました。月がもつ現代的な意義や問題点を期せずして開陳してくださった貴重なお便り、どうぞご覧ください。

先日は、堺でのご講演、大変ご苦労様でした。

系統だったご説明で、参加された皆さんにとっても理解しやすかったのではないかと思います。

東洋医学でもそうですが、日々の積み重ね(歴史)というか、生活の場での実体験を説明できるようにした長年の経験則は否定できませんし、かなりの部分で受け入れることができるように感じています。ただ、現状では科学的に説明できないことが多いようです。そこが、我々科学者の付け目のひとつとなっています。その意味で、漢方医学(経験)と西洋医学(科学)の融合は重要ではないかと思って、一時期、漢方薬の薬効薬理学的解析をしていたこともあります。私にとって、大変面白かった時代でもありました。

 ………………(中略)………………

富山県高岡市に9年程住まいしておりましたが、そこでの生活は太陰暦の影響をまだ残したものでした。七夕祭は8月にありましたし、我が家では桃の節句や端午の節句も太陽暦と太陰暦の両方にしたがってやっていました。現在も同じです。

自己紹介のときにも申し上げましたが、月の持っている影響力が我々の生活では重要だと強く感じています。しかし、太陽が持っているパワーも大切ですし、サーカディアンリズムのリセットには太陽光が関与していることも理解しています。太陽も、月もお互いに影響しあっているわけですから、両方ともに大切です。今の日本では、太陽暦に基づいて生活しており、悲しいかな、太陰暦の生活習慣は形だけしか残っていないのは片手落ちとしか言い様がないのではないでしょうか? 世間一般に非常に混乱しているように思いますし、その分、曲解されているようにも思います。このような意味合いでは、志賀さんの活動は、大切だと思います。

今後とも、志賀さんのご活躍を祈念申し上げております。
またお目にかかれる日を期して、お礼のメールとさせていただきます。ありがとうございました。

奥 亨
奥 善美

深谷での集いにも参加

深谷市にて
HP上の告知には間に合いませんでしたが、7月8日、埼玉県深谷市のカフェ「ムーンストーン」で「十三夜の集い」が催されました。子どもたちが大勢集まって、にぎやかなことでした。七夕の話をしましたが、子どもも熱心に聴いてくれました。江戸時代のことわざに「親と月夜はいつもよい」という月の明るさをありがたく思うことばがありますが、その心を現代に生かして「月夜と子どもはいつもよい」と胸をはれるような地域社会が生まれればいいなと願いました。深谷市にはそういう「地の利」があり、人のつながりも豊かですから、近々〈月〉の会・深谷を作ってはどうですか、と提案。

〈月〉の会・佐世保が作られました

月暦五月は梅雨の月で、五月雨とか五月闇など独特な日本語がありますが、「月なき月」というのもその一つ。この五月の十五夜に〈月〉の会・東京の例会をもちましたが、朧気味の円い月が楽しめたのは誠に幸いでした。

高垣さん 6月10日に岡山から見えた高垣門土さん
   
前項の細谷さんも初対面でしたが、この例会に岡山から高垣門土さんが訪ねてきてくださいました。やはり初対面ですが、高垣さんは私に強烈な印象を与えてきた忘れもしない人です。備前焼の作家で、月の満ち欠けのリズムで製作なさっているのです。現在は古民家再生にも取り組んでいるとのことで、近い将来のジョイントが楽しみになりました。

オフィスでの月見は月をはずしたことがない、と打ち興ずる例会の夜となりましたが、鹿児島で教員をなさっている西村さんと東京と鹿児島でともに月見をと約束していた日でした。そして、前日の十四夜には佐世保でも月を愛好する方々が集まりをもつと聞いていました。

長崎県には〈月〉の会・長崎があり、今年は「長崎伝習所」の事業の一環として「月の文化」が取り上げられ、活発に活動していることは既報の通りで、11月23日にわたしを講演者に呼んでくれています。これを機会に佐世保でも話を、というお話を同地の方とし、やがては佐世保市にも〈月〉の会ができるといいですね、と今後の展開を楽しみにしていました。

動きは急転、その佐世保から〈月〉の会・佐世保が誕生したとの報が届きました。集まりをもった6月9日十四夜に会を起ち上げたとのこと。

中心になっておられる方は田中千鶴さんで、「おしゃれの店タナカ」というお店を経営し、美容と健康法をテーマにし、月のリズムに並々ならぬ関心をお持ちでした。当初は月のいい日である6月9日に月見の集まりをとのことでしたが、お仲間との話し合いで早くも〈月〉の会の形成へと話はとんとん拍子、〈月〉の会の全国の環がさらに広がることになりました。うれしい情報を田中さん、ありがとうございました。佐世保の会は女性が多いようで、美容や食を楽しみにしながらこれからの活動を考えているとのことですが、佐世保から届いた文を紹介します。

〈月〉の会 佐世保

〈月〉の会・佐世保では
地球上の季節の変化や、植物・昆虫・魚介類・動物・人間など生命あるもの全てが太陽や月などの天体と関わり合って生かされており私達の生活や体・精神に迄影響を与えていると言う事が科学的にも立証されてきております。
特に女性は月のリズムと同じと言われており出産や肌の生まれ替りも28日サイクルが基本となっております。
長年追求し続けて来た美容と健康を月暦を活用した“健やかに楽しく美しく生きる生活術”をテーマに体験談を会員相互で情報交換しながら月との関わりを大切にし、月と親しむ生活を実践して行きたいと思っております。
催事の際は実費での参加をお願いしたいと思っております。

〈月〉の会 佐世保 事務局 代表 田中千鶴
TEL0956-31-5339
FAX0956-31-5349

5月の満月に向け――仏教界からのアピール

三回前のHPで国連の釈迦の日決議と南アジア仏教について紹介しましたが、この流れを日本でも考えていこうという「世界連邦日本仏教者協議会」(宗派を超えた仏教徒の横断的な団体)からのアピール文が届きました。

スリランカ、タイなど南アジア仏教国では西暦5月中の満月(月暦四月の満月)は「ウエサク」(パーリ語。サンスクリット語ではヴァイサカという)という名で、ブッダの生誕・成道・涅槃を記念し、宗派を超えた行事が行なわれる日。その映像などが入ってきて、南アジアの盛大な行事が日本でもようやく知られるようになって来ました。この5月には仏教徒の世界的な大会がタイで行なわれたそうです。日本からも70名の仏教界の方々が参加したとのことですが、参加された方の話によると南アジア仏教における月の役割は実に大きく、感銘を受けたといいます。これに大きな刺激を与えられ、日本でも来年5月仏教界の行事が行なわれることになりそうです。来年は5月2日と6月1日が満月ですが、どちらの日になるでしょうか?

長崎市と佐世保市の話を前項で紹介しましたが、5月満月の催しはその長崎と佐世保に所在する「釈尊鑽仰会」のような団体を各地に作り取り組みたいとのことで、偶然とは思えないアピール文です。どうぞその文書をご覧ください。

釈尊鑽仰会の結成のお願い(案)

(前略)周知のように、1999年12月15日、国連は34カ国の支持をもって5月のウェーサク(釈尊をたたえる日)を認知しました。

残念ながら日本は、支持国に加わることができませんでした。

いま国連は、私たち日本の仏教徒が、世界の仏致徒を一つに結ぶこのウェーサクの日をどのように受け入れようとするのか、期待を持って見守っています。

幸いに、昭和62年に発足した長崎釈尊鑽仰会、そして平成15年に結成された佐世保釈尊鑽仰会をモデルケースとした種々なご提案と率直なご高見をいただくことができました。

それは全国的な組織づくりではなく、まず、地方各都市の仏教徒を中心に、それをよりどころとして、日本仏教の伝統的な諸行事の中に、国際的なウェーサクの日をうまく導入し、組み合わせるということでした。

例えば4月8日の「釈尊降誕会」を“花まつり”と呼ぶように、ちょうど藤の花の季節である5月の満月の日を「釈尊鑽仰会」とし、“藤まつり”と称してはどうかという素晴らしいアイデアもいただきました。

 ………………(中略)………………

私たちの願いは、第一に仏教徒の使命である大乗仏教の精神にもとづいて、僧俗一体となって釈尊鑽仰会を組織し運営することです。従って役員の構成には各都市の商工会をはじめ各界の篤信の著名な方々にお願いをし、僧職者はその役職の一端を担って、それらの諸事業に率先して奉仕する。

第二は、日本仏教の宗派を超えた全一仏教徒の立場を高揚して、アジアの仏教徒とともに非暴力(アヒンサー)と寛容(アミターバ)の道を開き、さらに世界の諸宗教との多様な国際交流の場を持つよう努力する。

第三は、釈尊鑽仰会の結成を、心の新機軸として、人の輪をひろげ、地域に特有な環境ビジョンをつくり、温かな共生社会(ビオクラシー)を志向して、心のふるさとの健全な蘇りを促進することであります。

世界連邦日本仏教者協議会
事務局


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